2009年11月01日

南米はリチウムの宝庫

 今時の充電式電池の材料に使われるリチウムは、世界の8割に相当する量が南米にあるそうですね。

 鉱石を採掘するのではなく、塩湖の地下水にリチウム塩が含まれていて、汲み上げた地下水から水を蒸発させて、濃度を高めてリチウムを生産する、という点が非常に特徴的です。

 リチウムの需要も、携帯電話やパソコンのバッテリーだけでなく、ハイブリッド車や電気自動車に使われるようになれば、急速に拡大するはずで、今から産地の争奪戦がはじまっているようです。

 

 工業製品の輸出国としての日本からすると、商売上、リチウムの将来性と供給元を押さえておくことは重要ですが、同時にリチウムの生産に伴って、新たな問題が生まれる可能性もありそうですね。

 塩湖でのリチウム生産の実際を詳しく知りませんが、地下水を汲み上げているとすると、過度にやりすぎれば、地盤沈下やあるいは周辺地域への水供給に変化が起き、思っても見なかった問題が起きるかも知れません。

 

 供給元との交渉において、現地の環境が変わる可能性についての調査や対策もあわせて打ち出すことが出来れば、争奪戦でのちょっとした武器になるかもしれませんね。

 

asahi.com
南米リチウム争奪戦 塩湖の底に世界の8割

2009年11月1日10時53分

 パソコンや携帯電話に加え、電気自動車などの充電式電池の材料として、需要が急増しているリチウム。その資源の8割が集中するとされる南米で、激しい争奪戦が繰り広げられている。世界有数の電池生産国である日本も、獲得に躍起だ。チリの生産現場を訪れた。(アタカマ塩湖〈チリ〉=勝田敏彦)

 チリの首都サンティアゴから北へ飛行機で2時間。第2の都市アントファガスタから、さらに車で3時間ほど移動すると、5千メートル級のアンデス山脈のすそ野に延々と砂漠が広がる。その中に、アタカマ塩湖が見えてくる。

 広さは約3千平方キロ。鳥取県の面積に匹敵する。塩湖というが、表面に水がある場所は少なく、ほとんどは砂まみれになった岩塩の固まりだ。

 リチウムは、湖の地下十数メートルに潜んでいる。アンデス山脈の雪解け水などが岩塩層にしみこみ、リチウム塩などを溶かして塩湖の底に流れ込むのだそうだ。

 ここで操業するチリの大手企業SQMは、この水を約200本の井戸でくみ上げる。サッカー場ほどの大きさの数十の蒸発池にため、約10カ月かけて天日で水分を蒸発させて濃縮する。水は微妙に緑色を帯びている。水分が蒸発してリチウム濃度が高まるとともに、黄色みを増していく。

 SQMの施設では約700人が働く。肥料の生産が主な事業だが、最近は「副産物」のリチウムにも力を入れる。リチウム濃度が6%になると、アントファガスタ近郊の工場に運び、不純物を除いたあと、最終製品である炭酸リチウムや水酸化リチウムを製造している。

 アタカマ塩湖は標高約2300メートルの高地だが、かつては海だった。アンデスの造山活動で隆起して海が干上がり、リチウムなどがたまったらしい。年間で雨が降るのは数日というカラカラの気候も生産を助ける。

SQMの担当者は「鉱石から製錬する方法と違い、我々は水をくみ上げて太陽が照るのを待つだけ。エネルギーはほとんどいらない。コストが安く、私たちはとても恵まれている」と話す。

 SQMは「15年には(燃費の良い)ハイブリッド車、電気自動車の約50%がリチウムイオン電池を使う」とみる。昨年、炭酸リチウムの生産量を年3万トンから4万トンに増やした。さらなる増産も可能だ。同じアタカマ塩湖で操業するドイツ系のケメタルも増産の方針だ。

■安定確保へ日本も必死

 リチウムをめぐる獲得競争はすでに始まっている。

 世界のリチウムイオン電池は、生産量の半分近くを日本メーカーが占めている。原料のリチウムは輸入頼り。最大の輸入元がチリで、その多くがアタカマ塩湖で採れたものだ。SQMには、日本企業の訪問も相次いでいる。

 南米は現在、世界のリチウムの5割を生産している。アタカマ塩湖が位置するチリ、ボリビア、アルゼンチンの国境地帯には、ウユニ塩湖(ボリビア)、リンコン塩湖(アルゼンチン)もあり、すぐには開発できない「埋蔵量」まで含めると3塩湖だけで世界の8割を占めるとされる。なかでも、まだ開発が進んでいないウユニ塩湖が注目を集める。

 日本の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と住友商事などがウユニ塩湖でのリチウム開発をめぐり、ボリビア政府と交渉を始めた。経営に参加し、資源確保につなげる考えだ。

 だが、ボリビアには「かつて、銀を宗主国スペインに搾取された」との思いがある。ボリビア側は技術協力や資金援助には理解を示すものの、「開発はあくまで自国のみで」と共同開発には消極的だ。JOGMECの神門正雄・特命審議役は「なかなかガードは堅い」と話す。

ウユニ塩湖には、日本に次ぐリチウムイオン電池生産国の韓国のほか、フランスも関心を示している。

 韓国鉱物資源公社の金信鐘社長は7月末、朝鮮日報の取材にこう言っている。

 「これからは海外に直接飛び込み、未来の『リチウム戦争』に必ず勝利する」

          ◇

 リチウム 電池の材料として有望な金属。リチウムイオン電池は軽いうえ、大量のエネルギーを取り出せる。91年にソニーが世界に先駆けて量産化、パソコンや携帯電話用として普及している。ハイブリッド車や電気自動車にも利用が広がっており、06年から07年にかけては一時供給不足に陥った。世界のリチウムイオン電池向けのリチウム需要は、20年には今年の5倍超の2万3千トンになるとの予測もある。

 

posted by いさた at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(1) | 環境問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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