亀井金融相といえば、借金の返済を一定期間猶予するという「モラトリアム」を実現させたいとか、 日本郵政のトップを入れ替えたりとか、大臣になってから鼻息が荒いのですが、今度は公正取引委員会に「良い談合を認めろ」 と迫っていたそうです。
ここぞとばかりに爆走しているのでしょうかね・・・・国民新党ではなく、民主党としてはどう考えているのでしょうか。
この談合容認はかねてからの大臣の主張だそうですが、地方の中小企業が仕事を分け合うために行うのが「良い談合」で、 大企業が利益を独占するための談合は「悪い談合」らしいです。
こんなことを公正取引委員会が認めるわけがなく、話は物別れに終わったとのことですが、 独占禁止法からすれば認められないのが当たり前。
ただし、地方を救済するために公共事業を発注するということで、 できるだけ高い金で多くの業者に仕事を行き渡らせるには談合が必要なんだ、という趣旨はまあ理解できます。「競争」 とは違う次元での主張ではあるのですが。
要するに、ここ5〜10年間で談合がかなり少なくなり、競争になったけど実態は価格競争でしかなく、 ダンピングばかりで建設(関連)業界は疲れてしまった。その上仕事量も減少の一途でどうにもならない。 特に厳しい状態の地方の建設(関連)業界は、昔のダンピングが無かった頃に戻してくれよ、ということだと思います。
そうすれば経営は楽になるのかもしれませんが、技術力を高めようといった努力をしなくて良くなるのもまた事実。 努力をしなければ、ますます談合に頼らざるを得なくなるという悪循環に陥ることにもなります。
競争していくにあたっては、根本的には「価格が安い」だけで決定するのではなく、 設計や工事の技術力もあわせて評価して契約する、というシステムに変わる必要があるでしょうね。
現にプロポーザルや技術提案型など、そのような方向に変わりつつありますが、 これはこれで評価方法の問題が出てきたりして、簡単ではないのですが、政権が変わったので、 このあたりの変革に力を入れてはどうかと思います。
こうした技術力の評価となると、大手が有利で中小企業が不利といったことにもなり、 中小企業は仕事がとれない状況になるかもしれません。倒産するところがいくらでもでてくるかもしれません。
それを業界の再編と見るのか、行き過ぎた競争の果てと見るのか。それでよいのか、公共事業の持つ意味は? というところまで踏み込んで考えることになるのかもしれませんね。
asahi.com
「良い談合ある」「だめです」 亀井氏と公取委が火花
2009年10月22日17時3分
「中小企業が助け合う『良い談合』を推奨する」とかねて言っている亀井静香金融相と、 談合を取り締まる公正取引委員会の竹島一彦委員長ら幹部が21日夕、金融庁で「火花」を散らした。そもそも、 所管大臣のいない公取委の幹部が大臣に呼び出されるのは異例だという。
金融庁17階の大臣室。
「良い談合、悪い談合というものはありません。談合はだめです」(竹島委員長)
「日本の生活文化の中で、適正な受発注が行われるわけで、それを考えてくれ」(亀井氏)
談合は、公共事業などの競争入札で、業者らが水面下で話し合い、どの業者が仕事を取るかを決めること。 独占禁止法などに違反するが、亀井氏は様々な場で「良い談合もある」と繰り返してきた。代表を務める国民新党の政権公約にも 「明るく正しい良き談合の仕組みをつくる」と書いているほどだ。
06年4月、衆院国土交通委員会に公取委を呼んだ亀井氏の質問をたどってみると、大企業が利益を独占するのを 「悪い談合」、地方の中小企業が仕事を分け合うのを「良い談合」と考えているようだ。
一方、「企業が競い合うことで、より良い技術や商品が生まれ、経済の成長にもつながる」というのが公取委の考え方だ。 旧大蔵(現財務)官僚出身の竹島委員長はその筆頭。就任は小泉首相時代の02年で、経済界には「競争原理主義者」の声さえある。
出席者らによると、結局、談合論議は深まることなく、亀井氏が、 大企業が中小企業に対して不当に不利益を与える独禁法の「優越的な地位の乱用」や、 不当に下請け代金を値引きさせる下請法違反などの取り締まりに力を入れるよう求めて終わったという。
亀井氏の「良い談合」論について、談合を摘発された企業の代理人弁護士は「地方、 特に中小企業の談合の摘発は控えるべきだ」と理解を示す。摘発を受ければ高額の課徴金に加え、 地元の自治体など発注する官庁から指名停止処分も受けるからだ。「倒れてしまう業者も少なくない」と言う。
一方、公取委の幹部は「良い談合論には、そのお金がだれのものか、という発想が欠けている。それは国民であり、 消費者なのだ」と批判。談合で業者は潤うが、競争するより高額で公共工事が発注されることになるという。
公取委の「実績」を08年度でみてみると、談合やカルテルなど独禁法違反17件を摘発。 のべ87社に約270億円の課徴金の支払いを命じた。また、下請法違反を認定して親会社などに勧告したのは15件。 不当に下請け代金が減額されたとして、親会社50社から下請け2022社に、約29億円が返還された。(小島寛明)