前原国交相の「羽田空港ハブ化」発言で、羽田以外でハブ化を目指す空港のある自治体、 例えば大阪府や千葉県などが反発し、波紋を呼んでいます。
首相に根回しが甘く、前原国交相のフライング発言とも思われていて、反発の鎮静化に追われるなど、 混乱をきたしているようでもあります。
私は、国交相の言う「羽田空港ハブ化」は正論であると思います。
ハブ空港も日本には一つ稼働していれば十分でしょうし、何より東京の都心に近い。 いろいろ言っても東京に様々な機能が集中しているのだから、これは大きなアドバンデージ。
また、様々な空港に分散投資をする財政的余裕も無いでしょうから、1ヶ所に集中的に投資せざるを得ない。 あまりに分散させていたら、港湾の失敗と同じ轍を踏むことになるでしょう。
もし、複数のハブ空港がいるとしても、メイン稼働は羽田で、羽田が何らかの理由で利用できないときのサブとして、 成田ぐらいを考えておけば良いような気がします。
ただ、ズバッと正論を出すのは良いとしても、その発言に反応して、 切り捨てられる場所に既得権益がある関係者から不満の声が出るのは当たり前のことで、この辺の調整不足は否めませんね。 今まで以上に、中央集権で物事を進める、という姿勢を感じます。
現実は、そう強引な手法ばかりとれないでしょうから、調整は必要です。その結果として、反発の火消しで躍起になり、 結局妥協ばかりでよくわからない現状の引き延ばし、という状況にならないためには、与党として不慣れな鳩山政権が、 どれだけ調整できるかにかかっています。
YOMIURI ONLINE
羽田「ハブ空港に」、国際線24時間化へ…国交相
前原国土交通相は12日、大阪府の橋下徹知事と大阪府泉佐野市内で会談し、 2010年10月に再拡張される羽田空港について、「24時間空港化を目指したい」と述べ、 国際的な拠点空港となるハブ空港として優先整備する考えを示した。
国内線は羽田空港、国際線は成田空港とする「内際分離」の原則も廃止し、両空港の役割分担も見直す。 大阪府や千葉県など、国際空港の活用を通じて地方振興を目指している自治体から反発の声があがっている。
前原国交相は12日の橋下知事との会談後、記者団に「内際分離の原則を取り払い、 24時間国際空港化を徐々に目指したい」と述べた。さらに「日本にはハブ空港が存在しない状態だ」として、 アジアで存在感を増している韓国・仁川空港に対抗する考えを強調した。
13日の閣議後の記者会見では、「ハブになりうるのは、まず羽田。ただ首都圏空港の一体的運用は続けていきたい」 と述べた。
羽田は地方都市を結ぶ路線が多く、成田に比べて都心からの利便性も高い。 再拡張で発着枠は年間30万回から41万回に増え、このうち3万回分は国際線に割り振られる予定だったが、 国際線発着枠を将来的に上積みする考えと見られる。
前原国交相は12日、成田空港について、「航空需要の増大を見据えて有効活用する」との考えを示した。ただ、 羽田空港のハブ化は、成田空港、関西国際空港、中部国際空港の地盤沈下を招く可能性が高く、地元の反発は必至だ。 橋下知事は会談後、「関空がハブ化しないのに(府が関空に)お金を使うのはおかしい」と述べ、 関空への予算支出を打ち切る可能性を示唆した。
◆成田のハブ化、アジアの主要空港に後れ◆
前原国交相が羽田空港の「ハブ空港」化に言及した背景には、韓国・仁川やシンガポール・ チャンギなどアジア主要空港と比較して、成田空港がハブ空港として後れを取っているという実情がある。
航空業界や観光業界などにも、このままではアジアを訪れる外国人が日本を素通りしかねないとの危機感が強い。
アジア各国は、国家主導でハブ空港化を進めている。24時間運用や安い空港使用料などによって利便性が高く、 仁川や香港は国際線の就航都市数や貨物取扱量で成田を大きく上回っている。成田空港は騒音問題などで、 発着枠の制約や夜間離着陸制限などもある。
羽田の国際化は森内閣時代に扇千景国交相が打ち出したが、今のところ就航便はソウルや上海など近距離路線にとどまる。 国際空港としての地盤沈下をおそれる成田の地元への配慮も一因だ。今後、 同じくハブ化を目指している関西国際空港や中部国際空港などとの調整が難航する可能性もある。(経済部 山下福太郎)
◆「ハブ空港」とは◆
各方面から国際線が集まり、近隣国や国内他空港に乗り継ぎできる拠点空港で、車輪の中心軸(ハブ)に例えている。 アジア各国は着陸料の引き下げなど戦略的に整備を進めている。香港やシンガポール・チャンギ、韓国・ 仁川は24時間運用できる便利さもあって、国際線旅客数を伸ばしている。
(2009年10月13日11時51分 読売新聞)
前原国土交通相は就任以来、八ッ場ダムの建設中止、日本航空再建策見直しなど、立て続けに既存政策の変更を打ち出し、 鳩山政権の閣僚の中でもひときわ注目を集めてきた。
ただ、今回の「羽田空港ハブ化」方針は、9月下旬に国交省の副大臣、政務官との「政務三役会議」 で一応の腹合わせは済ませたものの、鳩山首相や平野官房長官に事前に相談すらなく、調整不足のまま見切り発車した形だ。
「成田と関空はもう重視しないという発想ではない。若干、言葉が極論に聞こえたのかもしれない」
鳩山首相は13日夜、首相官邸で記者団を前に、前原氏の発言による混乱の沈静化に追われた。
関西空港のある大阪府が地元の平野官房長官も同日の記者会見で、前原氏から相談がなかったことを認めた上で、 「政府としてその通りだという立場にまだない。地元の皆さんと十分連携を取って政府として判断する」と述べた。
もっとも、首相も官房長官も、羽田空港の「ハブ化」そのものについては否定していない。前原氏を切り込み隊長として、 「一貫性のない航空政策」(平野官房長官)の見直しにつなげたいとの思惑も透けて見える。
これに対し、関係自治体は反発している。
成田空港を抱える千葉県の森田健作知事は13日、県庁で記者団に対し、「滑走路の2500メートル延伸も、 地元と信頼関係を培って10月から(前倒しで)スタートすることになった。一つずつ積み重ねてここまできたのにパーだ」 と怒りをぶちまけた。
同県成田市の小泉一成市長も「成田(空港)は多くの血が流され、建設された。そういう経緯がわかっているのか」 と批判した。
当の前原氏は周辺に「羽田のハブ化は必ず理解される。実現させる」と語るなど自信を見せており、 調整の手腕が問われそうだ。
(政治部 東武雄)
(2009年10月14日07時28分 読売新聞)
たとえば、空港会計見直しなど曖昧な表現ではインパクトがありません。根回しなど下手にすると、内容が密室型に陥り、経過が不透明、自民党政治の再来になると思っています。
根回しばかりで表舞台では予定調和ばかり、というのも困りますが、今の状態もあまり宜しくないと思います。
パフォーマンスがうまい政治家が目立つばかりで、ますます劇場化していっているような。
これについては、マスコミの報道の仕方に問題があるのかもしれませんが・・・