7月にウイグル族の暴動があった中国のウイグル自治区ウルムチ市で、今度は漢族による暴動が起きているようです。
例によって海外メディアには詳しいことが伝えられないようですが、漢族の人達が注射針で襲われる連続通り魔のような事件が起きており、その犯人がウイグル族ではと憶測されていることや、やはり民族の対立が暴動の原因になっているようです。
漢族の暴動の矛先は政府当局や共産党に向けられているらしいのですが、これは少数民族向け政策への不満が噴出した、ということなのでしょうか。現在行われているという懐柔策は不満である、ということですかね?
統制が厳しい中国で、政府当局や指導部に対してあからさまに不満をぶつけるのは相当に異例なことのようですね。
その根底には民族対立意識があっての事態なわけですが、漢族住民がより強硬な政策を望んでいるのなら、その政策により、民族間の対立はますます激しく、根深くなるだけのことでしょう。
これで、体面を重んじる政府当局や指導部が暴動を力で押さえつけるだけとなったら、事態はますます混乱していくのでは。
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[中国] ウイグル暴動
産経ニュース
ウイグル自治区で再びデモ 胡演説集中学習キャンペーン中
2009.9.4 21:15
【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、3日に漢族による数万人規模のデモが発生した新疆ウイグル自治区ウルムチ市で4日、再び1千人規模のデモが起き、武装警察部隊が催涙弾を使って鎮圧した。治安悪化の原因を政府とウイグル族に求める漢族の抗議行動は、10月1日の建国60周年を前に胡(こ)錦濤(きんとう)指導部が展開する民族団結キャンペーンの限界を露呈した。
デモのきっかけは、8月中旬からウルムチ市で多発していた注射針を使ったとみられる刺傷事件だ。新華社通信によると、公安当局は3日までに容疑者21人を拘束。ロイター通信が地元テレビの報道として伝えたところによると、被害者476人のうち433人が漢族だという。
7月5日のウルムチ暴動後の治安悪化に対する不満が、デモの引き金になったとの見方があり、漢族の間では一連の刺傷事件はウイグル族の犯行だとの憶測が広がっていたとの指摘もある。5歳の子供に針でけがを負わせた犯人を住民らが取り押さえたことが騒動の発端だった、との情報もある。
8月下旬には、胡主席が4日間をかけてウイグル自治区を視察したほか、温(おん)家宝(かほう)首相と習(しゆう)近平(きんぺい)国家副主席が内モンゴル自治区を、李(り)克強(こつきよう)副首相が青海省のチベット族自治州を視察するなど、中国共産党政治局常務委員が相次いで、少数民族地域を集中的に訪問した。
指導部による異例の訪問は、建国60周年を前に当局が進める民族団結キャンペーン本格化の合図だった。胡主席は視察中、「少数民族地域での経済発展を基本に社会の安定を維持し、民族団結を堅持せよ」と訴えた。ウイグル、寧夏回族、広西チワン族などの各自治区では、政府や軍、企業が「学習会」を開き、胡主席の「重要講話」の周知徹底に努めた。
生活水準向上に向けた多額の支援といった懐柔策を主とする少数民族政策には限界がある。ウイグル族の企業家は「一時しのぎに過ぎない。漢族主導の統治策が問題」と指摘する。
3日、群衆の説得にあたった自治区共産党委員会の王(おう)楽泉(らくせん)書記(党政治局員)はデモ参加者から退任を求める罵(ば)声(せい)を浴びせられた。多数の市民が党高級幹部の辞任を公の場で叫ぶことは異例で、利権を甘受してきた漢族からも不満の矛先を向けられるなど、指導部の威信が揺らいでいる。