理化学研究所や広島大学をはじめとする研究チームのマウス実験によると、 宇宙空間や宇宙ステーションのような重力が極めて弱い環境では、出生率が地球上の半分程度となり、 子孫繁栄が難しいということがわかったそうです。
成育の過程では重力が関係しているのですね。それだけほ乳類が地球の環境に適応しているということでしょうか。
今後は月や火星といった重力の弱い環境での影響も調べたいとのことでしたが、 同じように地球上ほどの出生率は望めないのでは。
SFに出てくる火星生まれや月生まれの人、というのは実際には希少なのかも知れませんね。それでも世代を重ねていけば、 弱い重力の環境に適応して、出生率が高くなってくるのかも。
マウス実験では「微少重力を人工的に作り出す装置」を使ったという事ですが、こちらの技術もまた凄いですね。 原理がよくわかりませんが、遠心力で重力を相殺するとか?こちらの仕組みが気になります。
産経ニュース
宇宙では出産率が低下 理化学研究所と広島大のチームが発表
2009.8.25 10:51
宇宙ステーションのような重力が極めて弱い環境では哺乳(ほにゅう)類の子孫繁栄は難しいことが、 理化学研究所と広島大学などの研究チームによるマウス実験で分かった。 米スペースシャトル内と同じ重力環境では受精は可能だが出産率などが大きく低下し、 人類が宇宙ステーションなどで子孫をつくるのは難しい可能性があるという。25日付の米オンライン科学誌「プロス1」 に発表された。
魚類や両生類は宇宙空間でも子孫を残せることが分かっていたが、哺乳類は宇宙実験が難しく、 重力の影響は分かっていなかった。
研究チームは、弓削類(ゆげ・るい)広島大大学院保健学研究科教授らが開発した微小重力を人工的に作り出す装置を使い、 地球の1000分の1の重力環境下で、マウスの体外受精と初期胚の培養を実施。この胚を通常の重力下でメスの子宮に戻し、 出産率も調べた。
その結果、受精の成功率は差がなかったが成長は遅く、96時間後に細胞分裂が無事進んだ「胚盤胞」(はいばんほう) の状態まで発育する割合は、地上の57%に対し30%に低下。出生率は地上の半分程度だった。
理研発生・再生科学総合研究センターの若山照彦チームリーダーは「人類が子孫を残せるかどうかは、 永続的な宇宙活動を目指す場合の課題になる。今後は月(地球の重力の6分の1)や火星(同3分の1) のような弱い重力環境での影響も調べたい」と話している。
やはり、SF(スペースファンタジー)の世界はSFのままで終わってしまいそうですね。
実際に実験したら意外な結果になるかも知れませんよ。
月(地球の1/6)程度の重力があれば地球とほとんど出生率が変わらないとか。