以前より審議会で議論されていた成人年齢の引き下げですが、20歳から18歳に引き下げることが適当である、 という最終報告書がまとめられたそうです。審議会の総会で了承されれば、9月頃に法務相に答申されることになるようです。
選挙権を持つ年齢が18歳に引き下げられる事を前提にして、民法上の成人年齢を18歳にするということで、 もし実現すれば18歳で親の同意が無くても賃貸や借り入れなどの契約をしたり、結婚したりできるようになります。
18歳に引き下げるためには、国会で各種の法改正が行われる必要があり、 その時期などは国会に委ねるとして報告書には明示していないとのこと。
諸外国は18歳で成人とみなす国が多数派とのことで、足並みをあわせる意味があるのかもしれません。
18歳に引き下げになれば、若者の大人としての自覚が高まるかも、ということですが、どうでしょうね。 権利には関心が向かっても、義務の方にはあまり意識が向かないのでは。
現実はと言えば、年金の加入年齢なんかは、いち早く下げてくるかも知れません。朝日の記事にあるように、 悪徳商法に狙われるケースが頻発するかも知れません。
単に引き下げるだけではダメで、例えば現在よりも「大人の自覚」を高める教育などをしばらく続け、 意識が変わってきた頃に18歳に引き下げるのが良いかも知れませんね。
しかし、引き下げ時期や方法がはっきりしていない、ということは、報告書の実効性は低いようです。 実現までのさまざまなハードルを想像すると、「骨抜き」になっている気がします。
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成人年齢18歳引下げ議論
asahi.com
成人年齢「18歳が適当」 法制審、時期は国会に委ねる
2009年7月29日21時6分
法相の諮問機関・法制審議会の民法成年年齢部会(部会長=鎌田薫・早稲田大教授)は29日、明治以来、 20歳と定められてきた民法上の成年年齢を18歳に引き下げることが適当とする最終報告書をまとめた。 選挙権を持つ年齢も18歳に引き下げられることが前提。引き下げで生じる恐れがある消費者被害への対策の充実などを条件とし、 法改正の時期の判断は国会に委ねた。
民法上、成年になれば「親権」の対象から外れ、自動車の購入や消費者金融からの借り入れ、住宅の賃貸、 結婚などで親の同意なく有効な契約を結べるようになる。部会は、親の同意があれば男子18歳、 女子16歳で認められる婚姻の年齢については、法制審が96年に答申した内容に沿って、男女とも18歳にすべきだと提言した。
最終報告は、社会参加の時期を早めれば若年層の間で大人の自覚が高まるとし、「若者が将来の国づくりの中心」 という国の決意を示すことにもなると言及。「急速に少子高齢化が進む日本社会にとって大きな活力をもたらす」 と引き下げの意義を説明した。
その一方で、 今よりも若い時期から親の同意なしに契約行為ができるようになることで悪徳商法やマルチ商法に狙われて消費者被害が広がることを懸念。 親の保護から外れて経済的に苦しい若者が増えたりする恐れもあるといったマイナス面も指摘した。
引き下げの時期については国民の意識も重視。内閣府の世論調査で8割が引き下げに反対しているうえ、 各省庁が取り組んでいる消費者保護の施策や消費者教育、自立支援策の効果が国民の間に浸透するには一定の時間がかかるとして 「現時点での引き下げは不相当」との考えを示した。
結論として「施策の効果が発揮され、国民に浸透した段階で速やかに引き下げるべきだ」としつつ、 具体的な時期の判断は国会に委ねた。
最終報告は9月中旬の法制審の総会で了承されれば、法相に答申される。(延与光貞)