長い間仕事をしていれば、いろいろな経験を積みます。長い間といっても抽象的ですが、石の上にも三年、 ということは最短でも三年ぐらいでしょうか。
仕事を続けている間に様々なケースに遭遇することで、いろいろな対処・解決法、発想法を身につけることになり、将来、 同じようなことがあれば、過去の経験を応用して対応できるようになります。
そんな応用をする時は、だいたいの場合において、初めての時よりもスムーズに対処できるものです。「視野が広がった」 「引き出しが増えた」ということですが、これも技術力の一部。
また、経験を積んで初めて理解できることがあったり、あるいは経験によって、これまで知識でしかなかったものが、 本当に役立つ知恵になることもあります。
技術者としての能力を蓄え、発揮するのに一定の時間が必要なのは、このあたりが関係しているのでしょう。
ただ、経験が増すに連れて考え方が硬直してきて(既成概念化というのでしょうか)、 柔軟な発想をしにくくなる面もあります。まだ経験が浅い時の方がかえって自由な発想ができたりします。 経験一辺倒という訳にもいかないようです。
一方で、非常に長い間仕事に携わっていると、多くの経験の蓄積から「ある境地」に達することもあるようです。 私の仕事で言えば「土木とはこんなもの」あるいは「都市とはこんなもの」といった一種の世界観が、 実感として見えてくるようです。
この「境地」の内容について聞いても、ある程度の経験を積んでいないと理解できない。境地の話を聞いても、 実感を伴って理解できないので、身に付いてこない感じ。境地を知るためには、自身がもっと精進して、 理解できるレベルに達する必要があるのでしょう。
ただ、そうして経験を積んでいくうちに、自身はまた別の一つの境地を知ることになるのかも知れません。 ある境地に到達すれば、既成概念化からは離れて、また自由になるようです。
技術力は一足飛びには身に付いて行きませんが、この「境地」を理解できるか否か?というレベルの手前に、 ひとつの大きな壁があるように思います。
技術者も営業も全く同じですね。
営業マンも修羅場をどれだけくぐってきたかによって、
成長の度合いが変わってきますが・・・。
「引き出しが増えた」というのも私がよく口にします。
知識だけではだめで、顧客ニーズを的確に把握し、
それにマッチした提案が出来るようになるまでには時間がかかります。
最近はマニュアル本頼りが多いのですが、
そういうのは蘊蓄ばかりたれて、実力は伴いませんね・・・。
経験が伴うことで、本当に「身に付いてくる」感じですね。
最近は経験を飛ばして手っ取り早く実力を身につけるには?、あるいは結果を出すには?という方向が求められている感じがしますが、そうそううまい話は無いですね。