オーストラリアのメルボルンやシドニーで、インド人留学生を標的とした襲撃事件が相次いでいるとのこと。 「カレーバッシング」と称し、襲撃犯のほとんどは10代の若者だそうです。
例えば、シドニーでは4月だけで20件ほども起きているそうで、昨年末には死者も出るなどしています。既に、 インドとオーストラリア間の外交問題に発展しつつあるようです。
インド人側としては、面倒に巻き込まれると永住権がとれなくなるかも、とほとんど警察に届け出ないらしいので、 実際の被害はもっともっと大きいのかも知れません。届け出ないことが、カレーバッシングを助長している可能性がありますね。
このことは産経のニュースで知りましたが、ニュースの内容からは、襲撃側の動機がわかりません。いったい、 なぜこんなことをするのか?
インド人留学生は9万3千人ほどいるそうです。両国ともイギリス連邦のメンバーで、交流は盛んなのでしょうか。 オーストラリア国内の問題がわかりませんが、インド人とうまく行かないようなところがあって、 オーストラリア人が何か不満を持っているのか?
以前、オーストラリアで「鯨を食べる日本人は人間ではない」みたいなTV番組を放送していた、 というニュースを聞いた記憶があります。極端な一面がある国だな、と思いましたが、カレーバッシングもまた極端な行動ですね。
オーストラリアは、かつて白人優先の白豪主義をとってきた国。こんな事件を聞くと、 やはり人種差別意識が根底に流れているのでは?と思います。襲撃犯は白人なのでしょうかね?
直感的に感じたのは、人種差別意識と生活への不満、それに妙なナショナリズムが結びついて「カレーバッシング」 が起きているのではないかということですね。
こんな事件が頻発するのは国として恥ずかしいこと。在豪インド人たちの安全確保と、事態の沈静化がまずは必要です。
しかし、根本的解決に向けては、時間をかけて教育や思想の問題に踏み込んでいかないと無理なのでは。
産経ニュース
豪州で広がる「カレーバッシング」 対印関係に暗雲
2009.6.3 19:41
【シンガポール=宮野弘之】オーストラリアでインド人学生を狙った襲撃事件が相次いでいる。 犯人はほとんどが10代の少年で、「おやじ狩り」ならぬ「カレーバッシング(たたき)」と称している。 メルボルンではインド人学生ら数千人が抗議の座り込みをし、インド政府は早期解決を要求、両国の外交問題にまで発展しつつある。
襲撃事件は、メルボルンだけで過去1年で70件に上る。先週には続けて5人が襲われ1人は意識不明だ。ある学生は、 若い男数人に囲まれカネを奪われ、「インドに帰れ」とののしられたうえ、ドライバーで腹などを刺されたという。
シドニーで学生の面倒を見るインド人医師が地元紙に語ったところでは、同様の事件はシドニーでも4月だけで約20件。 しかし、学生は面倒に巻き込まれ、永住権をとれなくなるのを恐れ、ほとんど警察に届け出ない。犯人は若く、 昨年末にインド人男性を殺害し逮捕された少年2人は18歳、 先週シドニーで大学生を襲ったのは12歳から16歳の少年6人だった。
同医師によると、若者の間では「レッツゴー・カレー・バッシング」というのが、 インド人襲撃の合言葉になっているという。
5月31日にはメルボルンで数千人のインド人学生らが抗議デモを行った。 今月1日にはインドのシン首相がラッド首相と電話で会談し、事態の速やかな収拾を求めた。ラッド政権は2日、 治安担当責任者をトップとする特別調査委員会を設置。メルボルンが州都のビクトリア州政府は人種や宗教、 性別などが犯罪の動機の場合、より厳しい罰則を設ける方向で法改正し年内の施行を目指すという。
現在、オーストラリア国内には約9万3000人のインド人留学生がおり、そのほとんどがメルボルン、 シドニーに集中している。
2009.6.3 19:42
【ニューデリー=田北真樹子】インドでは、オーストラリアでの学生襲撃事件を「人種差別」として反発、 抗議する動きが広がっている。
大学では学生による抗議デモが相次いでいる。デリー大学では2日に行われ、主催したインド全国学生組合のラギニ・ ナイク幹事長は「いかなる人種に対しても差別的な行動は許されないことを、国際社会に訴えたい」と産経新聞に語り、 事件を強く非難した。
メディアは先週から連日、事件を大きく取り上げ、「オーストラリア人は人種差別主義者?」と報じるテレビ局も出てきた。 入院した被害者の様子をテレビが繰り返し放映するなど、反オーストラリア感情をあおっている感もある。一方、 インド映画界を代表する俳優は、オーストラリアの大学からの名誉博士号授与を断った。
政府はオーストラリア側に、インド人学生の安全確保、事件防止、迅速な犯人逮捕と法的措置を要請。国内に向けては 「この問題は両国の首脳レベルで協議されている」と、事件重視の姿勢を強調している。しかし、 外国での事件だけに打つ手は限られ、事件に歯止めがかからなければ、国内の反発の矛先が政府に向けられることも予想される。