今年度から、大教大付属池田小学校で、全国初となる「安全科」なる授業を始めるとのこと。週に1時間で、防犯や防災、 交通安全などを幅広く学ぶ内容だそうです。
付属池田小は、2001年に児童殺傷事件が起きた学校。学校の職員たちは「子供をいかに守るか」という視点から、 「自分で身を守る力の育成が欠かせない」というところに至ったようです。
あの事件以後、「学校は安全な場所」という認識は変わり、警備体制が一変しました。現在は、 学校などには簡単に入れなくなったし、子供たちに防犯ブザーを支給したり、あるいは地域に不審者が見つかったら、 情報がメールでまわってきたりなどなど。
まさにその事件が起きた場所なら、「自分で身を守る術を教えよう」と思うのも無理はないでしょうね。
ただ、私が子供の頃を振り返ると、確かに避難訓練やら交通安全指導など、 自分で身を守る術を学校で学ぶ機会もありましたが、それよりは、 親や近所の人たちから教えられたりしたウェイトの方が大きかったように思います。町内会で消防訓練があったりとかもしましたね。
今の子供たちは、そういったことを知る機会が、昔に比べれば少ないのでしょうね。犯罪被害を別とすれば、 怪我をするような危険な場所は少なくなっているし、またそんな事をしなくなっているようですから。
「安全科」として学校で教えるのも悪くはないのですが、日常生活での安全ということであれば、 親や地域も巻き込んだ形の方が良さそうな気がします。
引用記事にある、着衣のままプールと言ったサバイバル的経験なんかは、学校で教えるには良いかなと思います。 高学年なら、人工呼吸や心臓マッサージやらも、内容に入っていたりしますかね。
YOMIURI ONLINE
自分で身を守る力を、付属池田小で全国初「安全科」授業
2001年6月に児童殺傷事件が起きた大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)が今年度から、防犯や防災、 交通安全などを幅広く学ぶ授業「安全科」を全学年で始めた。
教科として安全教育を行うのは、全国で初めて。事件後、「子供をいかに守るか」を模索してきた同校教員らが 「自分で身を守る力の育成が欠かせない」と考えをまとめ、全校で取り組むことを決めた。
授業の内容から今年度中に冊子などを作り、全国にノウハウを発信する。
同校では事件後しばらくは、児童らが惨劇の記憶におびえ、「知らない人についていかない」 といった言葉さえかけられなかったという。04年4月に改築された校舎に入ってから、ようやく総合学習の時間などに、 地域の安全マップ作りやいざというとき駆け込める「110番の家」を学ぶといった防犯教育に少しずつ取り組んできた。
「子供たちもいつかは自分で身を守らなければいけなくなる。その力を身につけさせたい」 という意見が教員の間で強くなったのは、事件当時に在籍していた児童の大半が卒業した06年頃。08年12月には事件後初めて、 児童と一緒に不審者侵入を想定した避難訓練を行い、今年2月、教育課程特例校の文部科学相指定を受け、 4月から週1時間の安全科の授業が始まった。
先月26日の4年東組の授業では、担任の浅田正志教諭(38)が児童とともに校舎の外に出た。 構内の通路を街路に見立てて児童が自転車で走った。歩道に乗り上げて駐車車両がある場合などを想定し、 何に注意するべきかを考えさせ、「目に見えない危険を予測して」と語りかけた。「いつもの道路でも危険がいっぱい」 「自分の身は自分で守らないと」。感想文にはそんな言葉が並んだ。
水難事故を想定して着衣のままプールに入る体験や、自宅での留守番、地震、 火事の際どうするかの対応を学ぶ授業も実施される。1年生と6年生がペアで行う作業では、友達を気遣う視点を養うという。
8日で事件から8年。当時からいる教員は3人になった。その1人の佐々木靖副校長は 「子供を守るために何ができるかを発信するのは学校としての使命。授業の一部でも、他校の参考になれば」と話す。
(2009年6月2日16時09分 読売新聞)