つい先日、WHOが警戒レベルをフェーズ4へ引上げた新型インフルエンザですが、 本日フェーズ5へとさらに引上げられました。地域レベルで人から人への感染が持続している状況ということで、 世界的大流行(パンデミック)の直前の段階です。
なお、「豚インフル」は実態とはちょっと違うニュアンスの表現と思うので、「新型インフル」にしました。
一層の警戒を、ということです。一方で、人やモノの移動制限、あるいは国境の閉鎖などは「勧めない」というのは、 経済への悪影響を懸念してのことなのでしょうね。また、 メキシコについで患者が多いアメリカの移動制限や国境閉鎖は現実的でない、と言う事情もあるのでしょう。
また、インフルエンザ自体は弱毒性で、重症化する恐れは少ないようです。ただし、人から人への感染を繰返すうちに、 強毒性に変異する可能性もあるらしいので、まだまだ楽観するわけにはいかないとも。
日本では今のところ新型インフルエンザが疑われる患者は出ていません。冷静に対処しましょう。
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[アメリカ] 新型インフルエンザか?
[豚インフル] WHO フェーズ4へ警戒レベル引上げ
厚生労働省 新型インフルエンザ情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/
asahi.com
「大流行に備えを」WHO、警戒水準「5」に引き上げ
2009年4月30日11時16分
【ジュネーブ=南島信也】新型の豚インフルエンザの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)のマーガレット・ チャン事務局長は29日深夜(日本時間30日早朝)に緊急記者会見を開き、警戒レベルをこれまでの「フェーズ4」から 「フェーズ5」に引き上げたと発表した。WHOが「フェーズ5」を出すのは初めて。世界的な大流行(パンデミック)を示す 「フェーズ6」の一段階手前で、WHOは国際社会に向けてより強い警告を発する必要があると判断した。
経済、社会など各分野に影響が広がるのは必至で、各国政府は一層の対策を迫られることになる。
「フェーズ5」は人から人への感染が、一つのWHO管轄地域内の2カ国以上で発生している状態。WHOは、 警戒レベルを27日に「3」から「4」に引き上げたばかりだった。
WHOは当初、30日午前にも緊急委員会を開いて対応を検討する方向だったが、 29日に開かれた各国の専門家らによる電話会議で、各国に早急な対策強化を求めるには「フェーズ5」 に引き上げるべきだとの意見で一致。チャン氏がこうした意見を考慮し、正式な緊急委員会を開かずに前倒しで引き上げを決断した。
チャン氏は会見で、引き上げの理由を「地域レベルで持続的な人から人への感染が確認されたため」と説明。背景には、 感染の中心となったメキシコ以外にも、米国で初の死者が出たほか、欧州やニュージーランド、中東、 南米にまで感染が広がっている状況がある。
チャン氏は「パンデミックが迫っている」と強調。会見に同席したケイジ・フクダ事務局長補も 「フェーズ6も十分にあり得る」と述べ、最悪の段階まで警戒レベルを上げる可能性を示した。
チャン氏は「パンデミックになれば人類全体の脅威になる」としたうえで「警戒レベルの引き上げは各国政府や保健当局、 製薬会社が行動するべきだというサインだ」と述べ、早急なワクチンの増産や研究を要請。 「すべての国は大流行に備えた計画を速やかに始動させ、高度な警戒態勢を維持すべきだ」と訴えた。
一方で、人やモノの移動の制限、国境閉鎖などは「勧めない」とした。
また、チャン氏は「過去の経験からインフルエンザは豊かな国では軽い病気だが、 途上国では致死率の高い深刻な病気になる」と語り、途上国への感染拡大に危機感を示すとともに、国際的な協力の重要性を訴えた。
YOMIURI ONLINE
厚労相「引き続き冷静な対応を」…警戒水準「5」で緊急会見
世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒水準を「フェーズ4」から「5」に引き上げたことを受けて、 舛添厚生労働相は30日朝、厚労省内で緊急記者会見を行い、「フェーズ4に引き上げられた段階で、国・ 地方自治体をあげて必要な対策を講じている。現時点で国内に患者が発生している状況ではない。 国民は引き続き冷静に対応してほしい」と呼びかけた。
舛添厚労相は国内での感染者発生に備え、院内感染に配慮した発熱外来の準備、 新型インフルエンザのワクチン製造などの対策を実施していくことを改めて表明。「今は水際対策に最善を尽くしているが、 危機管理としてはウイルスが日本に侵入することを前提している。その時も、国民には冷静に対応していただく」と強調した。
(2009年4月30日07時43分 読売新聞)