新潟市に今年6月、新しい県営球場ができるそうですが、その名称が「ドカベン球場」になる予定だったようです。作者の水島新司氏が新潟市出身であることもあって、新潟県が考えていたらしいです。
ですが、結局は知事の意向により、今流行のネーミングライツビジネスで地元企業の名前が付くことに決まり、水島氏は新潟市で勤める役職を退く意向を示しているとのこと。
水島氏は70歳だそうです。そんなお年だったのですね。特に活躍されていた時期を考えると、やっぱりそれぐらいでしょうね。
役を退くのはドカベンの名が採用されなかったこと大きい、と言われているようです。内々に打診を受けていて、最終的にひっくり返されては気落ちもされるでしょうが、年齢を考えると「後進に道を譲る」というのも理由の一つではあろうかと思いますね。
産経と朝日の記事を読むと、
知事が悪者であるように書かれています。
新潟県の内々の打診がどんなものだったのかわかりませんが、確定的な感じで言われていて、それが知事の意向で変わってしまったのでは落胆しても仕方がないでしょうね。
まして、命名権とドカベンの名前の併記、という新潟県にとって都合の良い折衷案を出されても、作品に愛着のある作者としては認めがたいものだったのではないでしょうか。
確かに「ドカベン球場」なら全国的と言って良い知名度があり、さらに他の水島氏の作品にもちなんだことができるのなら、単なる球場にとどまらず、アイデア次第で面白い仕掛けがいろいろできて、「大化け」する可能性があったと思います。(自治体がそこまで肩入れできるのか、ということになるのかもしれませんが)
ただ、大化けは言わばバクチ。自治体の財政事情が厳しい昨今では、ローリターンでも、確実性の高い命名権ビジネスをとる方が現実的対応と言えるでしょう。県知事の判断は、このあたりを考えてのことだと思うので、ただ悪者であるとも言えないのではないでしょうか。
この問題は、水島氏への対応や、トップの知事への説明といった、組織としての新潟県の根回しのまずさが招いた事態のように思えます。水島氏が役職を退くと言い出した点については、きっと予想外だったのでしょうね。
産経ニュース
「ドカベン球場」幻に 新潟県知事が命名権収入に固執 水島新司氏は市役職辞任
2009.4.17 20:52
新潟市出身で野球マンガ「ドカベン」の作者、水島新司氏が、「新潟市サポーターズ倶楽部」会長や市主催の「にいがたマンガ大賞」最終審査員を辞任する意向を市に伝えていたことが17日、分かった。
水島氏の関係者によると、6月完成予定の県営野球場(同市)に「ドカベン」の名称を使う構想が、泉田裕彦知事の判断で事実上頓挫したことで、行政への不信感を募らせたことが原因とみられる。
県などによると、県は昨年、新球場に「ドカベン」の名称を使いたいと水島氏に打診。水島氏も無償での使用を快諾したが、泉田知事が収入確保のため企業への球場の命名権売却に固執。県は17日、球場の命名権をリサイクル業のハードオフコーポレーション(同県新発田市)に売却すると発表した。
水島氏の役職辞任について泉田知事は同日、「大変残念」と話した。
asahi.com
ドカベン球場かなわず 水島さん、新潟市の役職退く意向
2009年4月18日21時3分
新潟県は17日、ハードオフコーポレーション(本社・新発田市)がネーミングライツ(命名権)を獲得した県立野球場(新潟市中央区)=7月オープン予定=について、正式名称が「HARD OFF ECO スタジアム 新潟」(ハードオフエコスタジアム新潟)に決まったと発表した。
命名権料は年額3千万円で、契約期間は契約締結日から14年3月31日までの5年間。県と同社は5月中にも基本協定を結び、正式契約する。
新潟市出身の漫画家水島新司さんの作品「ドカベン」を球場名に推す声もあったが、泉田裕彦知事は球場運営費の軽減を目的に命名権の売却を決定。水島氏側が企業名との併記を認めなかったことから、「ドカベン球場」の名が消えた経緯がある。
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漫画家の水島新司さん(70)が「にいがたマンガ大賞」の最終審査員など、新潟市の役職を退く意向を示していることが17日、明らかになった。市は慰留に努めているが、関係者は「県立野球場の名前にドカベンが採用されず、落胆したことが大きいようだ」と明かしている。
市によると、水島さんはマンガ大賞が始まった98年から最終審査員を務めているが、3月、市に「10年の節目を迎えたため、後進に道を譲りたい」と事務所側が伝えてきたという。また、新潟市サポーターズ倶楽部(東京)の会長職についても「市との関係を見直したい」と語っているという。
マンガ大賞は9月から募集を始めるため、市はしばらく事態を静観する考え。サポーターズ倶楽部は20日に総会を開くが、会長職は改選せず、引き続き水島さんに依頼するという。市はマンガ活用事業として「ドカベン」のキャラクターをバスや看板にも使っている。
この日、報道陣から「水島さんの行政不信をどう思うか」と問われた泉田裕彦知事は「残念。直接話をできていない状況なので、認識の違いがあると思う。そこをやりとりできたらいい」と話した。(渋谷正章)