もう昨日の4月4日、発射準備が整ったと発表され、その日のうちにも発射されるかと思われた北朝鮮のミサイルは、結局昨日は発射されず。単純に天候などの発射条件の問題か、それとも政治的駆け引きから発射のタイミングを図っているのか。
その緊迫した状況の中、日本は「発射」の誤報を2回出すというチョンボをやらかしました。
防衛省でコンピュータの不具合から秋田県へ誤報を出したのが1回、さらに日本のレーダーが何らかの航跡を補足したという情報を、米軍の警戒衛星からも情報があったと勘違いして官邸へと誤報を連絡。
ハードウェアの問題とヒューマンエラーの問題により誤報が発せられたことになります。
発射探知から迎撃までごく短時間の勝負であるのに、このような状態では正直、危機への対応能力は不安です。また、北朝鮮が発射を予告している期間は4月8日まで。これからも同じようなことを繰り返せば、政府の発表に対する信頼性が失われます。
ハード的な問題と人的なミスは、ミサイルの探知と緊急対応、という経験が、防衛省や日本政府にほとんど無いことに起因しているのだろうと想像しています。経験が無いということは、平和であったということで望ましいことなのでしょうが・・・
もちろん、技術的に・・・
・・・ミサイル発射を探知し、特定するのが難しいといったこともあると思います。しかし、現在の警戒状況に対しては、類似の経験や豊富なリハーサルがあれば、関係者の準備・対応の仕方は、もっと冷静なものではないだろうかと思います。
何となくですが、特に前線となる防衛省の関係者は、極度に緊張した状態か、あるいは「どうせ日本は飛び越えてしまうさ」と言ったような楽観的すぎる精神状態のいずれかで、程よい緊張を保って冷静に行動できる状態では無いような気がします。
ミサイル発射が今後数日でどうなるのかはわかりませんが、昨日の誤報で少し冷静さを取り戻して、改めて警戒活動に臨んで欲しいと思います。
ミサイルが発射されてもかまわないのですが、日本に物理的被害が無く、同時に今回の一連の警戒活動が将来に役立つ経験として蓄積される、また迎撃システムの使い方のヒントになる、といった実利が得られて事態が収束するのがまずまず良い終わり方だろう、と考えています。
YOMIURI ONLINE
「発射」誤発表2回、防衛省の機材不具合や勘違いで
北朝鮮が「人工衛星」だとして発射を予告した弾道ミサイルの探知を巡り、政府は4日、未発射にもかかわらず、2度にわたり「発射した」という誤った発表をした。
防衛省の連絡内容の取り違えや機材の不具合が原因で、間違った情報は自治体や報道機関に伝えられ、海外でも報道された。浜田防衛相は4日夕、「情報伝達の不手際で大変ご迷惑をかけた。厳しく指導したい」と陳謝した。
政府は4日午後0時16分に、「官邸対策室」名で、「さきほど、北朝鮮から飛翔体(ひしょうたい)が発射された模様」と発表。5分後に「さきほどの情報は誤り。飛翔体の発射は確認されていない」と撤回した。
防衛省の説明によると、午後0時16分、技術研究本部飯岡支所(千葉県旭市)に設置した警戒管制レーダー「FPS―5」が「何らかの航跡」を探知。この情報は防空指揮群(東京・府中市)経由で、ミサイル防衛システムを運用する航空総隊司令部(同)の担当官に伝えられた。だが、担当官は米軍の早期警戒衛星からもミサイル発射情報(SEW)がもたらされたと勘違い。この誤った認識をもとにして、防衛省の中央指揮所(東京・新宿区)の担当官が「発射」と判断、首相官邸の危機管理センターに防衛省連絡官を通じて伝えられ、発表された。
直後の同17分、「FPS―5」が航跡を見失い、SEWも入っていないことが判明し、防衛省は同20分に首相官邸に訂正を連絡した。
一方、4日午前10時48分には、陸上幕僚監部指揮所(東京・新宿区)から、「飛翔体発射」の誤情報が「コンピューターの不具合」により秋田県に派遣されていた自衛隊の連絡官にメールで送信され、秋田県庁経由で県内市町村に連絡された。指揮所は同11時8分に誤発表であることをこの連絡官らに伝えた。
河村官房長官は4日夕、首相官邸で記者団に、ミスの経緯を詳しく検証する考えを示した。
(2009年4月4日22時31分 読売新聞)