2006年に、世間を大いに騒がせた秋田・連続児童殺害事件を起した畠山鈴香被告。昨年3月、 秋田地裁が無期懲役判決を出し、およそ1年後の今日、2審の高裁も無期懲役判決を出したとのこと。検察、 弁護側双方の控訴を棄却し、一審判決を支持した結果のようです。
殺意の有無や、責任能力といった、犯行に関わる根本的な部分は認定されているものの、 計画性については一審同様に認められていません。また、消極的評価だと思いますが、反省の姿勢が無いこともない、という点、 さらに他の死刑判決が出た事件と比較し、当然死刑とは言えないという点から、無期懲役の判断となったようですね。
昨年の地裁判決の時の記事に、以下のように書きました。
『鈴香被告がしたことを考えれば、死刑となっても全く不思議ではありませんが・・・・・ 逮捕されてからも自白がコロコロ変ったり、秋田県警の捜査のまずさも手伝って、結局十分に真相が分らないまま、 裁判に突入していった印象です。そんな状態では、罪一等減じられた判決でも仕方がないのかもしれません。』
今回も同じような感想を抱きました。ただ、前回の判決時、 鈴香被告が被害者の両親に土下座をしたパフォーマンスが今回の判決に影響を与えているのか?気になるところではあります。 反省の姿勢として評価されたのだろうか。
他の案件と比較して当然死刑とまでは言えない、というのは詳しくはどのようなニュアンスなのでしょうね。 計画性が無いということで、残酷・凶悪とまでは言えない、という感じでしょうか。
名古屋の女性拉致殺害事件に比べれば確かにそう言えますが、ボーダーラインはどのあたりでしょうね。
これまでの流れからして双方ともさらに上告でしょうが、検察側にとっては、 県警の捜査のまずさが後々まで影響しそうな、そのような予感がしています。
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畠山鈴香に無期懲役判決
asahi.com
畠山鈴香被告、二審も無期懲役 仙台高裁秋田支部判決
2009年3月25日16時0分
秋田県藤里町で06年に起きた連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた畠山鈴香被告(36) への控訴審判決が25日、仙台高裁秋田支部であった。竹花俊徳裁判長は被告を無期懲役とした一審・ 秋田地裁判決を支持し、検察側、弁護側双方の控訴を棄却した。
検察側は一審と同様に死刑を求刑し、弁護側は有期の懲役刑を求めていた。判決は 「犯行は場当たり的で計画性はなく、反省へ向けての意欲も認められないではない。 これまでに死刑とされた事件と対比しても、当然に死刑を選択すべき事件とはいえない」と量刑の理由を述べた。
一、二審を通じて、畠山被告は長女で小学4年だった彩香さん(当時9)への殺意を否定していたが、 この日の判決は、一審判決に続いて彩香さんへの殺意があったことを認定。また、 豪憲君を殺害した時点で完全な責任能力があったことも、一審判決に続いて認めた。
判決によると、畠山被告は06年4月、彩香さんを、橋の欄干から川に突き落として殺害。同年5月には、 2軒隣に住む小学1年の米山豪憲君(同7)を首を絞めて殺害し、遺体を川岸に捨てた。
昨年3月の一審判決は、2件の殺害を認めたうえで、ともに計画性がなく、 被告は更生の可能性があるなどとして無期懲役を選択していた。
検察側は控訴審で、犯行の計画性を強調し、「反省もみられない」と主張していた。
YOMIURI ONLINE
畠山鈴香被告に無期懲役、検察・弁護側双方の控訴棄却
秋田県藤里町の連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた同町、無職畠山鈴香被告(36) の控訴審判決公判が25日、仙台高裁秋田支部で始まった。竹花俊徳裁判長は、無期懲役とした1審・ 秋田地裁判決を支持し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。控訴審では検察側が死刑を、 弁護側が有期の懲役刑を求めていた。
長女の小学4年彩香さん(当時9歳)の殺害について、竹花裁判長は「畠山被告が強い口調で、 彩香さんを極めて危険な欄干に上らせ、腰を支えるのを手伝った。さらに、 振り返って畠山被告に抱きつこうとした彩香さんを押し返すには相当な力が必要だった」と述べ、 1審通りに殺意があったことを認定。「抱きつこうとした彩香さんを反射的に振り払った」として、 過失致死罪の適用を求めた弁護側の主張を退けた。
検察側は、殺意が生じた時点の認定を巡り、「1審判決に事実誤認がある」と主張したが、竹花裁判長は 「犯罪事実自体の認定に誤りはない」として退けた。
また、畠山被告と彩香さんの親子関係について控訴審判決は、「(畠山被告の)母親に世話を任せきりで、 彩香さんとの接触に嫌悪感を抱き、彩香さんが足かせとなり、就職できないと感じていた」と述べた。
「彩香さんが川に転落した後に畠山被告が健忘になった」とする弁護側の主張について、竹花裁判長は 「捜査段階で畠山被告は彩香さんを転落させた状況を詳細に供述している。橋にいた事実を忘れようと思い込んだが、 その記憶は完全に失われておらず、思い出すことができた。記憶を失ったとは到底認められない」と認定した。
1審判決では、彩香さんを殺害した事実から目をそらそうと畠山被告が記憶を抑圧させ、2日後には 「その記憶がすぐには想起されない状態だった」としていた。
さらに、捜査段階での自白の任意性と信用性については、いずれも認めた。弁護側は「手続きに違法性があり、 証拠能力がない」と主張していた。
畠山被告は1審で、米山豪憲君の殺害については「(彩香さんの)喪失感から突発的に犯行に及んだ」 などと話していた。
◆秋田連続児童殺害事件=判決によると、畠山鈴香被告は2006年4月9日夕、 秋田県藤里町の藤琴川に架かる大沢橋で、小学4年の長女彩香さん(当時9歳)を欄干に乗せ、 抱きつこうとしたところを左手で払うように体を押して落下させ、水死させた。同年5月17日午後、 帰宅途中だった近所の小学1年米山豪憲君(同7歳)を自宅玄関に呼び入れ、腰ひもで絞殺、 遺体を車で同県能代市の米代川岸に運び、遺棄した。
(2009年3月25日11時18分 読売新聞)
結局、両事件ともに殺意を認め、
責任能力も認めた上で、
利欲的目的を伴わず、著しく執拗、残虐ではない。
また周到な計画性もなかったということでしょう。
最近の裁判では、利欲的目的を伴わない女の犯罪には
死刑回避の傾向があるような気がします。
TBの件、お知らせありがとうございます。
早速、試してみます。
計画性、残虐さ、利欲的、というあたりがキーになっているのでしょうかね。
女性である、と言うことだけで死刑回避の理由の一つになっているとしたら、ちょっと問題有りでしょう。