九州沿岸で、海面の「副振動」により最大で160cmの大きな潮位の変動があり、車や家が浸水したり、漁船が転覆するなどの被害が出たそうです。長崎県や鹿児島県の沿岸部で被害が大きかったようです。
被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。
「副振動」というのは、主な海面の振動(満ち引き)である潮汐以外の、海面の振動という意味で名付けられたらしい。例えば、港のように防波堤で囲まれたところは、港内の海水が、ある固有の周期で潮位が変動するそうです。これが「副振動」だとのこと。
沖合から長波(水深に対して、波の長さが非常に長い波)が来て、湾やあるいは港内に入る時、波の上下の振動が増幅されて副振動となり、岸のあたりで大きな潮位の変動となることがあるようです。
高さは低いけれど山の間隔が相当長い波が、港に入る時に、山の間隔が短くて高低差が大きな波になってしまう、というイメージですかね?
私は今まで副振動のことは知らなかったのですが、港湾(土木)に携わる技術者、あるいは海で生計を立てている人達にとっては常識なのでしょうか。一つ勉強になりました。
今回のような大きな海面の変動は珍しいそうですが、高潮などのように、予測するのは難しいのでしょうかね。
asahi.com
潮位急変する「副振動」九州などで被害 転覆・浸水など
2009年2月25日22時4分
港や湾内などで海面の高さ(潮位)が急激に変化する現象「副振動」が、24日夜から25日にかけて九州沿岸や奄美大島で観測された。気象庁によると、長崎県や鹿児島県では5〜30分の周期で最大約160センチも潮位が変化し、小型船が転覆したり、住宅が浸水したりするなど各地で被害が出た。26日午前にかけて満潮を迎えるところもあり、気象庁が警戒を呼びかけている。
長崎海洋気象台によると、25日夕までに観測された副振動の大きさは、長崎市や鹿児島県十島村で約160センチ、鹿児島県枕崎市で約140センチ、同県西之表市で約90センチ、同県奄美市や長崎県五島市で約80センチなど。いずれも周期は5〜30分ほど。
鹿児島県内では25日午後4時半現在、上甑(かみこしき)島で海水が川を逆流して堤防を越え、8棟が床下浸水したほか、薩摩川内市や南さつま市など3市で計12隻の小型船が沈没、7隻の小型船が転覆した。大きな潮位の上昇で船体が浮き上がろうとしたが、アンカーロープが短かったために、海中に引き込まれる形で転覆したとみられる。ロープが切れて漂流した小型船も10隻あった。薩摩川内市上甑支所によると、同島の浦内(うらうち)湾の堤防で目測したところ、最大で約250センチの潮位変化があったという。
熊本県内では天草下島南部の天草市河浦町で床上浸水が1軒、床下浸水が7軒あり、市道が2カ所で冠水した。
長崎、宮崎県内でも副振動が観測されたが、目立った被害はなかったという。
気象庁によると、副振動は低気圧が中国大陸から日本へ向けて発達しながら進むときに発生しやすい。今回は日本から大陸にかけて延びた停滞前線付近での気圧変化が「引き金」になったと考えられるが、これほど大規模なものは珍しいという。
地震の話かと思いましたら、そうではないんですね。初めて知りました。珍しい話なのだとは思いますが、自然環境が安定しない昨今、対処も難しそうですね。
「副振動」という海面の上下動の中でも、今回のは特に大きな変動で、被害が出たということのようです。
現象の性質として、各湾や港毎に発生する状況が異なるようなので、予測するのは難しいのかも知れません。