2009年02月02日

WTC 新府庁にするなら耐震補強

 大阪府庁舎の更新に関して、南港のWTCに移転すると言う案が、最近脚光を浴びつつある状況ですが、 もしWTCに移転する場合、ビルの耐震補強が必要なようです。

 

 もともと、現在の設計基準に照らすと、一部不適となる部分があるらしいのですが、商業ビルで使用する分には 「既存不適格」ということで法的には問題がないようです。

 ただし、府庁舎となると、災害時に重要機能を担うことから耐震補強が必要となるそうです。 大阪府の基準では通常の1.5倍の強度を要求するそうなので、なおさら必要でしょう。移転費用として、 この耐震補強費(18億5千万程度らしい)も見込む必要がある、ということになりますね。

 この耐震補強はビルの上屋に関する補強みたいですが、地盤と基礎は大丈夫なんでしょうかね。南港は埋立地なので、 建物を支える地盤自体、あまり強固ではないと思います。そのあたりの現状把握と対策も必要ではないでしょうか。

 

 また、災害時は府庁が重要機能を果す、とのことですが、 南港へのアクセスを確保しておかないと機能しないでしょうね。南港から大阪市内や各方面へアクセスする道路や鉄道にも、 それ相応の耐震性を持たせることが必要になります。

 特に、立地上、橋やトンネルの耐震性がキーになりますね。これが全滅となれば、府庁は孤立状態になってしまいます。

 

 道路や鉄道関係は、阪神・淡路大震災以降、耐震補強を進めて行っているはずですが、 こちらについても南海地震の長周期地震動などを考えると、「既存不適格」 なものが出てくる可能性があるんじゃないでしょうか。

 問題は意外と広範囲に潜んでいるかも知れません。

 

(関連記事)
大阪府庁をWTCに移転する案
移転後の跡地利用も考えた上

 

asahi.com
大阪WTCビル、耐震強度不足 府庁移転なら補強へ

2009年2月2日15時3分

 大阪府の橋下徹知事が府庁移転をめざす55階建ての「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC) が、00年改正の建築基準法の耐震基準を満たしていなかったことが府の調査でわかった。東南海・ 南海地震を想定した長周期地震動でも、建物損傷の恐れがあるとしており、 今後の府庁移転の議論に影響を与える可能性がある。

 府によると、WTCの強度を解析したところ、90年の設計時は耐震基準を満たしていた。だが、 阪神大震災を踏まえた00年の法改正によって、 より強い地震波を入力すると7〜13階に変形が生じる恐れがあることが判明した。

 また、法律上の規制はないが、ゆっくりした揺れが長く続く長周期地震動について、 国の指定性能評価機関の基準を当てはめると、7〜16階で変形が生じ、 エレベーターシャフト内の機器が損傷する恐れがあるという。

 商業ビルとして使う場合、「既存不適格物件」として法的問題はない。ただ、 府庁舎は災害時に重要な機能を果たすことから、府の基準で通常の1.5倍の強度が必要とされる。このため、 府庁が移転する場合は18億5千万円をかけて耐震補強するという。府は「倒壊の恐れはなく、 直接的には建物内部の人間の安全性を損なわない」としている。(春日芳晃、吉浜織恵)

 

 

posted by いさた at 19:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 建築関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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