休日の高速料金を、2年間にわたって上限を1000円とする景気対策が行われることになりました。これに伴って、 フェリーの客が奪われる可能性が高いとして、国土交通省がフェリー業界への経営支援策の検討を始めているそうです。
国が補助金を出し、フェリー会社が自治体に支払っている港湾使用料を無料化する、 という方法が考えられているようです。
同じ目的地を目指すにも、高速を使えば交通費は1000円+ガソリン代で、フェリーだと数万円ということになれば、 交通費節約のため、自分で運転して走っていこう、という人がかなり増えるのは容易に想像がつきます。
例えば、大阪から四国・九州向けだと、フェリーだったら運転せずに寝て行けるので、 ドライバーにとっては体力的に楽です。そういう意味で運賃を支払う価値はあると思いますが、こうも価格差がつくと、 やはりそうも言っていられないところが出てきますね。優雅な船旅、という形容がありますが、 ますます船旅は余裕のある人向け、ということになるのかもしれません。
高速料金の割引は、ETCを付けた乗用車のみらしいので、トラックなどの業務用の需要はそう変らないのでしょうが、 帰省や行楽シーズンの客が少なくなるのは、経営的には苦しいでしょうね。
高速料金がもとに戻った時、フェリー会社は経営が成立たずに無くなっていた、というのも困ることなので、 経営支援はやむを得ないところがあるのかな、とも思います。
しかしながら、同じような話は、影響の程度差はあれ、鉄道やら高速バスやら航空機やらにもあるわけで、 経営支援となるとまだ続きが出てきそうな感じがします。
産経ニュース
フェリー業界に公的支援 高速1000円で打撃必至 国交省検討
2009.1.26 01:30
土日祝日の高速道路料金が割引されることを受けて、国土交通省がフェリー業界に対し、 経営支援の検討を始めたことが25日、分かった。高速道路料金の割引によって旅客を奪われる可能性が高いとみており、 港湾使用料の無料化などの支援が必要と判断している。 すでに西日本に本社を置くフェリー会社9社が支援を求める要望書を国交省に提出しており、こうした動きは今後、 全国に波及する可能性がある。国交省はフェリーを環境負荷の少ない輸送手段と位置づけており、 公的支援によって高速料金割引による影響を最小限にとどめたい考えだ。
国交省によると、日本各地を結ぶフェリーは現在、事業者数が約150、航路数が約170ある。だが、 景気後退による観光需要の低迷や、重油価格の上昇などで経営は悪化しており、 東証2部上場の関西汽船は平成20年6月中間連結決算で2億4000万円の最終赤字となったほか、昨年は沖縄、名古屋、 大阪などを結ぶ航路を運営していた有村産業(那覇市)が破産に追い込まれた。
こうしたなかで打ち出された高速道路料金の割引策に業界の危機感は大きく、昨年末には関西汽船、 四国開発フェリーなど西日本に本社を置く9社の社長が連名で金子一義国交相に要望書を提出した。 要望書には高速道路の大幅割引に危機感を表明、何らかの公的支援の必要性を訴えた。
高速道路料金の割引制度は、今年度第2次補正予算成立後、2年間にわたって実施されるが、実際に導入されれば、 フェリー業界への影響は避けられないとみられる。今月16日に発表された料金案では 「地方圏の高速道路料金を休日は上限1000円」となっており、 例えば大阪から大分まで高速道路を使って乗用車で出かける場合、ガソリン代も含めて7000円かからずに済む。
これに対し、関西汽船のカーフェリーに、普通乗用車で乗り込み、大阪港から別府港(大分県)まで移動すると、 割引制度を使っても2万8140円かかり、関西汽船では「阪神−九州で3割の客がとられる」とみている。
このため国交省は、フェリー会社への影響を最小限に抑える必要があると判断、 港を管理する自治体にフェリー会社が払う港湾使用料を無料化する検討を始めた。港湾使用料が無料になれば、 「運賃の値下げにも回せる」とみている。
仮に、高速道路と競合するフェリー航路の港湾使用料を国が補助する形ですべて無料にした場合、 国交省では年間10億円程度の財源が必要と試算している。 21年度から道路特定財源が一般財源化されるのに伴って新設される1兆円規模の交付金の活用なども検討している。
港湾使用料 岸壁、係留くい、桟橋などの港湾施設を利用するフェリー業者などが、 港湾を管理する都道府県や政令指定都市など地方自治体に支払わなければならない料金。 金額は自治体ごとに定められている。「船1トン当たり5円」などと料金が決められており、 一定の係留時間を超えると加算されるケースが多い。