アメリカ・デューク大学の研究によると、お年寄りは若い人に比べて、つらいことや嫌なことの記憶を消すのが上手い、 ということがわかったそうです。引用記事では、「過去がバラ色に見えやすい」という表現です。
詳しい実験の方法や結果は、引用記事を見ていただくとして、要するに、お年寄りと若い人では、 お年寄の方が嫌な記憶を覚えていない率が高かった、ということのようで、 記憶する際に脳が活発に働く部分が異なっているようです。
やはり、年齢と共に記憶力が落ちていくことも関係はあると思いますがf(^^;、より長く人生経験を積むことで、 ストレスになるつらいことや嫌なことの衝撃を薄める、あるいは取捨選択できるようになった、ということでしょうね。
しかし、お年寄と言っても、これまでストレスが少ない、恵まれた環境で過してきた人なら、 また違う傾向なのかもしれません。逆に、政治家ともなると、何かにつけて「バラ色」 に見る能力が求められるのかも知れません・・・・
この実験結果は、よく、考え方や感じ方が「大人になる」と表現されることに、関係しているような気がします。 2グループだけでなく、子供からお年寄りまで、年代別に比較できれば、より興味深い結果が出るかも知れませんね。
asahi.com
お年寄りの脳、過去はバラ色? 米大が記憶消す働き分析
2009年1月13日11時44分
【ワシントン=勝田敏彦】お年寄りは若い人に比べ、嫌な記憶を消すのが上手らしいことが、 米デューク大の研究でわかった。お年寄りはつらい記憶を処理するとき、若い人とは別の脳の部分を使っていて、 過去がバラ色に見えやすいらしい。米専門誌サイコロジカル・サイエンス電子版に発表した。
研究チームは、平均年齢70歳と24歳の15人ずつの協力者グループに、30枚の写真を見てもらった。 写真には、普通の図柄に加え、ヘビがかみつこうとしているところや暴力シーンなど、見るのが嫌な図柄も含まれていた。
その後、写真の図柄を覚えているかどうかを尋ねるテストを実施。 普通の図柄ではお年寄りと若い人で成績に差はなかったが、嫌な図柄の写真では、若い人は52%が覚えていたのに対し、 お年寄りが覚えていたのは44%だった。
また協力者が写真を見ている間、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で脳を観察したところ、 お年寄りは若い人に比べ、記憶に関連し、感情をつかさどる部分より高度な思考をつかさどる部分が活発に働いていた。
人間は年齢によって脳の使い方の戦略を変えているらしい。チームのロベルト・キャベザ教授は「若い人は、 いい記憶もつらい記憶も正確に記憶する必要がある。年配の人はつらいことの多い世界に生きているので、 つらい記憶の衝撃を減らし、記憶するようになったのだろう」とみている。