大阪府が門真市で、第2京阪道路の用地として、保育園の畑を強制収用したそうです。畑には、保育園児たちが大事に育ててきたサツマイモや落花生が植わっていて、2週間後には芋掘りを予定していたのに、収穫の喜び目前で無惨にも破壊されてしまいました。
単刀直入に言って、なぜあと2週間待てなかったのか。橋下知事の説明では、これ以上待つと第2京阪の開通が遅れ、通行量で6〜7億の損が出るので、公の利益のためだ、ということだそうです。
この畑以外に、まだ3000平方メートルほど未買収地があるそうですが、(大阪府が交渉を進めているかどうか知りませんが)そちらもすぐに強制収用するのでしょうか?そうでないなら、今、強制収用する意味はなんでしょうね。
時間が無い、というのも、役所が手続きにかかる時間を極力短縮する努力をしたり、工事の工期短縮を工夫したりすれば、開通までに2週間ぐらいは稼ぎ出せるんじゃないでしょうか。そうすると、結局しわ寄せは業者側に寄せられて、突貫工事を余儀なくさせられるような気もしますが・・・・
また、橋下知事は、なぜ2週間早く収穫しなかったのか、とか菜園を使った別のイベントもできたのでは、とか言っているそうですが、これは全く何もわかっていないですね。
何のために畑で作物を育てていて、それが子供たちの成長にいかに関わっているのか、理解していない。時期を考えずにただ収穫すればいいものでもないし、ずっと収穫を目標に育ててきたのに、直前になって違うことをして終わり、では何をしてきたのかわからない。
イベントをして、それが楽しければ良い、ということでは決して無いはずです。
今回の強制収用で、園児たちも何か思うことがあっただろうし、中にはショックを受けた子もいるでしょう。通行量で6〜7億の損害というけれど、子供たちの心に与えた衝撃が、将来どのような影響を及ぼすのでしょうか。
お金に換算できるものではないでしょうが、数億円の損失では、到底済まないかも知れませんよ・・・・
asahi.com
園児のイモ「なぜ抜く」 第2京阪用地、大阪府が代執行
2008年10月16日17時3分
大阪府は16日、第2京阪道路の用地として、門真市の北巣本保育園の畑771.17平方メートルに行政代執行をかけ、強制収用した。月末の芋掘り交流会に向け、園児たちが育ててきたサツマイモや落花生が引き抜かれ、整地された。
午前7時半、大阪府用地室の職員ら100人が農地を囲うフェンスを撤去し、代執行を宣言。8時から、農作物を引き抜き、ご神木のエノキの下にある地蔵尊などを撤去した。
畑には早朝から、保育園理事の松本剛一さん(49)ら約30人の地域住民、園児の保護者らが集まり、「収穫までのあと2週間をなぜ待てないのですか」と抗議した。「サツマイモ畑には子どもの思いがどれだけ詰まっていると思っているのですか」と、叫ぶ保育士らが畑にうつぶせになり、府職員が数人がかりで排除する場面もあった。
松本さんが出している執行停止の申し立てについて、大阪高裁が30日に決定を出す予定。司法判断を待たなかった理由について、府は「10年3月末に予定されている第2京阪の全線供用開始に間に合わなくなるため」としている。
第2京阪道路は、京都市伏見区と門真市を結ぶ28.3キロの自動車専用道路で、国道1号の渋滞を緩和させる役割が期待されている。浪速国道事務所によると、事業用地は保育所の畑を除き、まだ7件、約3千平方メートルが未買収だ。(阿久沢悦子)
◇
大阪府の橋下徹知事は16日朝、報道陣の取材に答え、「府は4月から任意交渉を誠実に続け、慎重な対応をしてきた。(高裁の決定まで)今後2週間遅らせると、通行料で6億〜7億円の損が出てくる。公の利益のためということで、園の所有者には申し訳ないがこのまま代執行をさせて頂く」と説明。イモの収穫については「なぜ2週間早く(収穫を)して頂けなかったのか。執行前に、菜園を使った別のイベントをやることもできたのでは」と話した。
なぜ、わざわざ所有権の移転したこの場所、この時期に芋を植える必要があったのか?
その理由は以下の経緯から見えてきます。
・第二京阪の土地の取得が始まる。
・道路建設に反対する園長は売却拒否。(計画用地を自身の経営する保育園の農園として使用する。)
・土地収用委員会によって土地の所有権が西日本高速道路に移転。
・園長は土地の代金の受け取りを拒否。
・裁判所の立ち退き命令が出るも無視。
・園長が父親から相続した農園の土地は20年耕せば相続税免除だったが(19年目で所有権が移転したので相続税2300万円の支払いを求められる。)
・今年もイモ植える
・西日本高速道路は大阪府にイモ撤去の代執行を依頼。
・代執行の通告が来る
・イモ掘らずにプラカード作る
・代執行
この経緯を踏まえれば、園長がゴネるために園児を利用したということがありありと見えると思うのですが。
府知事が2週間待ってやるという選択肢も理がないわけではないですが、そもそもこのような事態を回避するべきであった園長、その他関係者である大人が最も責任を負うべきではないでしょうか?
裁判所も指摘している通り、他の場所で芋を植えればよかったのです。そのような簡単な事を行わずに恐らく園長の相続税回避の為に利用されたイベントに7億もの損失を受け入れる価値はないと思うのですが。
園児にとってはこのような大人の都合など知るよしもなくただ嫌な思い出だけが残ったのです。だから府知事を賛同する気にもなれませんが、それ以上に園長に強い嫌悪感を抱きます。
コメントありがとうございます。
園長に関して書かれたことが事実で、園児達の教育がダシにされていたのであれば、保育園児たちがさらに可哀想です。
橋下知事の説明にしても、某国会議員のように「ごね得は許さん」という説明の方が迫力があったでしょうね。
これはこれで、また批判を浴びるでしょうが。
>園長、その他関係者である大人が最も責任を負うべきではないでしょうか?
原理原則は言われるとおりだと思いますが、芋が植えられており、収穫が間近という「現実」に対しては、子供たちの心情に配慮し、2週間後の収穫を待って強制収用をした方が良かったのでは。
この場合、強制収用に対する印象は相当に違うはずです。
これは、私も思います。できれば他の場所から工事を始めることによって、この場所での工事を2週間遅らせる等のこともできたのではとも考えました。
もちろん、それにともなう費用の発生は避けられないので現実的ではないかもしれませんが。
しかし、事情が詳しくなるにつれて、また違った側面が見えてきたようです。
どうやら、以前から何度も芋ほりに対する交渉があったことや、保育園の弁護士からの「園児に芋を掘らして欲しい」という要請も大阪府は受け入れたが、松本理事に最終的に拒絶された、という。
(参考URL)
http://www.j-cast.com/2008/10/17028831.html
ここまで頑なに芋掘りの前倒を拒否することの筋の通った理由も園長側にも無いと思うのですが。それに大阪府は既に譲歩してた上でのことですし。
子供が一番嫌な思いをしてしまうというのは本当に残念ですが、それを利用するために、わざわざ所有権の移転した他人の土地に芋を植えるという卑怯な行為のために、大阪府が7億もの損失を出すというのは、多くの人間にとって容認できるものでは無いと思うのですが。
突然のコメント失礼しました。私も子供のことを考えると大阪府にも他にやり方はなかったのかと考えているのですが、それを利用したと考えられる園長達が許せないのです。
参考にあげていただいたURLの他、橋下知事の反論なども流れていますが、いくつかの情報をあわせると、要するに道路建設の抵抗勢力と、「ごねる者は許さん」という行政のメンツ・都合の衝突で、子供たちが利用されたり、悲しい思いをして一番の犠牲になっている、という状況かな、と考えています。
>ここまで頑なに芋掘りの前倒を拒否することの筋の通った理由も園長側にも無い
園長側も抵抗しているのだから、ひきのばす意図もあったでしょうね。
ただ、作物が育つには時間が必要だし、それを考えずに代執行するから早く掘れ、というのは行政の都合でしか無いですよ。
>大阪府が7億もの損失を出す
これは、大阪府が損失を出すのではなくて、将来の道路管理者となるNEXCOが損をする、ということです。
6〜7億というのも明確な額ではなく、あくまで試算に基づいた予想額だと考えられます。
仮に第二京阪道路が予定通り2010年3月(実はこれは延期された結果の開通予定)に開通したとしても、試算のベースとなっている通行量が無ければ、いくらでも損失は出てきますので、額面通りに受け取るのはどうかと思いますよ。
大阪府が損失を出す場合となると、開通が遅れて、NEXCOに損害賠償訴訟を起こされたりした場合ではないでしょうかね。
>それを利用したと考えられる園長達が許せないのです。
私としては、反対運動やらには関心はほとんどありませんし、強制収用には反対しません。
悲しんでいるであろう子供たちが気になるのみ。
保育園の事後フォローで、変に大阪府(≒権力の象徴)=悪、という刷り込みがなされる恐れがあるのなら、大阪府自体も園児らのフォローを考えて、実行する方が良いと思いますね。
子供らが悲しむのは、府としても本意では無いでしょうから。
ttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-05-16/2006051615_01_0.html
コメントありがとうございます。
>これで教育者といえるのだろうか?
保育園側関係者の教育者としての資質には関心がありません。
が、もしそれについて判断するのなら、土地収用への抵抗以外に、日頃保育園でどんな教育をしているのか、も考慮に入れる必要があるのではないでしょうか。
違法行為を(大人の差し金とはいえ)やっていた園児の保護のため、数億の負担を国民や業者に強いることが正しいかどうかも考えるべきでは?
数万円のレベルではなく数億ですよ。
どれだけの損失かはわかると思いますが。
それとも、あなたたちの勤めている会社は数億の損失を、違法行為によって強いられることを見過ごせるのでしょうか?
園児に謝罪すべきは、園長とその関係者であることは明白でしょう。園児の心の傷の責任もすべてその人たちの責任でしょう。
そんなに園児の心が大切なら、反対した人たちが数億の損害を補償すればよかったのではないですか?
自分たちにその損害が降りかかってこないから、平気で行政批判をできるのだと思います。
あくまで例示。
あなたの土地に勝手に作物を植えている人がいました。(相手は当然の権利だと主張しています)
ところがあなたはその土地を売却する必要があり、そのためにはその野菜を破棄しなくてはなりません。
正当な手続きをとり、その野菜を破棄しようとしたとき
「その野菜は子供が丹精こめて作ったんだ、あと2週間待てないのか」と、その人たちが抗議しました。
ところがあなたはその土地が売却できないと、期限までに必要なお金を用意できません。そうすると数千万の損害が出てしまいます。
それでも、あなたはその子供たちを主張する人たちのために、数千万円を自腹を切って損害を受け入れますか?
行政を批判できるのは、上の事例がもし発生しても「子供たちのためなら数千万の損害を受けても仕方がない」をいえる人たちだけです。
コメントありがとうございます。
なるほど、公の利益を保ち、損失を防ぐ、という行政の観点からは、あなたの言われることは正しいですね。
数十名の子供のことより、数億の損失を防ぐ。
ただし、この件について、公の利益と損失に関する、知事の説明が説得力に欠けるものだと思ったので、この記事を書いたわけです。
>自分たちにその損害が降りかかってこないから、平気で行政批判をできるのだと思います。
>行政を批判できるのは、上の事例がもし発生しても「子供たちのためなら数千万の損害を受けても仕方がない」をいえる人たちだけです。
これでは行政批判はそうそうできないですね。
「極端に言えば」と断られていますが。(^^;
「なぜ2週間待つべきなのか」
については、説得力のある説明をしていませんね。
(芋はこの段階で2週間程度の前後で収穫の良否がきまる作物ではないことは明白)
それに、そもそもこのことで園の主張を認めることは
「違法行為であっても、既得権を主張すればごね得が認められる」ということではないですか?
この園長の発現や行動を見れば、明確に園児のことなど考えていないのは明白ですが。
それに、府は代執行の時にも
「芋掘りをするならしてください。その間は待ちますから」って言っていませんか?
なのに、芋を掘る時間はないけど、プラカードを作る時間はあったんですかね。
>それに、そもそもこのことで園の主張を認めることは「違法行為であっても、既得権を主張すればごね得が認められる」ということではないですか?
土地収用に抵抗する一連の活動がごね得、というのなら意味はわかります。
公の利益のためごね得は許さん、ということはわかっていますが、子供たちの心情を考慮して、2週間待って代執行できなかったのか、と思うわけです。
(それは、いま代執行を行う理由である、これ以上のばすと6〜7億の損失が出る、という説明に、本当か?と疑問を感じたからです。)
例えば、2週間待って、芋掘りが終ってから代執行をしたとしても、園側は何か抵抗してくると予想されます。
が、府としては、苦渋の決断をし、さらに2週間待った上で行った、という説明であれば、これは印象が全然違います。
事務手続きとしてはマズイ対応かも知れませんが、政治的判断としてはアリでは?と思います。
(数億の損失云々のデッドラインは2週間程度ならずらすことができるだろう、という前提での話。)
すまりさんの主張からすれば、損害と無関係だからそんなことが言える、で片付けられてしまうかもしれませんが。
>この園長の発現や行動を見れば、明確に園児のことなど考えていないのは明白ですが。
園側を擁護するつもりはありませんし、園側にも責任はあると思いますよ。
***
この話、府を批判→園側が正しい、園側を批判→府が正しい、と○・×の二元論で語られていることが多い印象があるのですが、それはちょっと違うんじゃないか、と思っています。
今のところ、うまく表現できないんですけれども。
府は2週間どころか、数ヶ月も待っていたのですよ。
すでに他人の土地に芋を植えるということをやっている人が、2週間待って何か変わるのですか?
大体、そもそも2週間早く芋掘りをしたら、何か支障があるのですか?
府は以前から「代執行の日でも芋を掘るまでは待つ」と言っていたのですよ。
知事は経験上わかってたのではないかと勝手に思っています。
この手の主張をする人は、芋を掘った後もなにかにつけ
「園児の気持ちを考えろ」
と、無理難題を吹っかけてくることを。
もともと、そういう人を相手にした商売をやっていた人ですからね。
そもそも、府は園児の心を傷つけないために、はるか以前から「この日までに芋を掘ってください」って何度も通知していましたが、それを弁護士の意見を無視してはねつけていたのは誰ですか?
私は園側が100%悪いと考えています。
まさか、性犯罪者にも正しい部分があり、性犯罪被害者にも責められるべき部分があるとお考えの人なら話は別ですが。
>府は2週間どころか、数ヶ月も待っていたのですよ。
収穫に近い2週間だから、待ってあげれば、と思いますよ。
(芋の成長に不具合とか、合理性だけでなく、子供らの心情を慮る、といったことも含めて判断したらどうか、ということです)
むしろ、収穫とはほとんど関係のない、数ヶ月前に代執行した方が、子供たちの悲しみ、という点からはベターだったかもしれませんね。
>私は園側が100%悪いと考えています。
なるほど。
>まさか、性犯罪者にも正しい部分があり、性犯罪被害者にも責められるべき部分があるとお考えの人なら話は別ですが。
今回のケースになぜ性犯罪者の話を持ちだして並べるのかわかりませんが、心外な言い方をされるものですねぇ。
「加害者にも一部の利があり、被害者にも一部の非がある」という考え方への皮肉です。
ちなみに、今回の園側の主張を認めるなら、今後自分の主張を通したい人は、幼い子供を理由にすれば、どんな理不尽な自分勝手な言い分でも通るという前例を作ることになりませんか?
極端に言えば、人間の柱として園児を並べておけば、どんな理不尽な占拠も認められてしまうんですよ。
それに、そもそも代執行前に
「今から掘るならその間待ちます」
っていわれたときに、プラカードを作ったり、子供をつれてきたりする時間はあっても、芋を掘る時間はないって不思議に感じませんか?
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200810300128.html
代執行停止の抗告が棄却された、ということですが、予定通り芋掘りの日を待っていたら、判決の影響があったかもしれない、ということなんですね。(執行停止になる可能性が0ではない)
府の説明で歯切れが悪く感じるところは、こういう事情から、ということですかね。
>「加害者にも一部の利があり、被害者にも一部の非がある」という考え方への皮肉です。
この場合、加害者=園側、被害者=府側、として、府側に批判めいたことを言えば、加害者に一部の利があると言っている、ということになるんですか。
私は理解できませんが、○×の二元論で言えばそういうことになるのでしょうか。
>ちなみに、今回の園側の主張を...
>極端に言えば、人間の柱として...
極端すぎますね。
ケースバイケースで判断すれば良いのでは。
ただ、何事も前例主義でとにかく画一的に対処せねばならない、というのなら、とにかく執行側の論理で処理して、「ごね得は許さん」と説明すれば済むことです。
>それに、そもそも代執行前に...
1.法手続きや違法行為云々ということであれば、と園が100%悪い、府は100%正しい、ということになるでしょうね。
2.子供たちが傷ついたことについて、元を正せば、園が子供を利用している、ということになるだろうし、責任はある。
3.ただし、収穫間近の府の代執行では、現実的な対応(あるいは政治的判断に基づく対応)として、子供たちの心情を考慮してやれなかったのか、と思います。
(11/1の現時点では、裁判の判決への対応も必要であった、という事情はわかったので、単純に2週間待つ、ということはできなかったのだろうけれど)
4.畑の強制収用、代執行には反対ではない。
なのですが、3.が園側の利を認めている、というのは、私の感覚では理解できません。
(ここが、すまりさんがこだわっている点ではないかと私は考えているのですが)
また、府の対応は100%正しく、3.などありえない、とお考えであれば、それはそれでかまわないのではないでしょうか。
で、いざ収穫が終わって代執行しようとしたら、なんと今度は新しい作物を園児がうれしそうに植えていたなんてことも考えられますね。
で、府は当日も「芋を掘るならその間は待ちますから、どうぞ今から掘ってください」と一回は引き上げていることを考えてみてください。
つまり、府は可能な範囲で何度も譲歩し、園児が傷つかないような最大限の配慮と譲歩をしていたと考えられます。
府の対応が100%正しいのではなくて、園の対応が100%間違っていると考えています。個人的には100%の正義などありえないが、100%の悪はありえると思っています。
府の対応はその中で、さまざまな事情を考えた場合、最大限の譲歩はしていたと考えています。
話し合いとはお互いの譲歩で成り立つのであって、譲歩する気のない相手には強制しかないのも悲しいが事実です。