残留農薬やカビなどの問題で、工業用に用途が限られた「事故米」を、 三笠フーズという会社が食用に転用していた問題が先日発覚しました。昨年1月に2度、 農水省に三笠フーズを告発する情報が寄せられ、立入り調査をしたが不正を見抜けなかったそうです。
不正を見抜けなかった、というのは食品の偽装・不正問題で良く出てくるフレーズですね。 農水省の調査の仕方に問題があるんでしょうか。もしそうであれば、警察や検察、 国税といったところのノウハウを学ぶ必要があるのでは。
さて、基準値を超える残留農薬を含む米を、意図的に食用で販売、というのでは、毒物の販売と同じですね。 食用への転用は5〜6年前から、と当事者達が言っているようですが、本当なのでしょうか。だいぶん、サバ読んでいるのでは?
すぐに健康被害が出る濃度ではないとか、実際に健康被害が確認されていないとか、 いろいろな言訳はあるでしょうけれど、安全性を無視しても、とにかく儲けたかったということですね。 中国様のことをとやかく言えない商売の仕方ですよ。
事故米の行方を調べ出し、とりあえずいくつかの酒造メーカーで使われている、ということが公表されました。 自主回収を始めたメーカーもあります。
これからの調査で他にも広がっていくのでしょうが、自主回収ではなくて、農水省が三笠フーズに回収命令を出す、 といったことはできないのでしょうかね。農水省にはそこまでの権限は無いのでしょうか。
少なくとも、どれぐらいの範囲に事故米がばらまかれたのかぐらいは、全て公表して欲しいものです。でないと、 自衛の必要性を感じた時に判断のしようがありません。
asahi.com
有害米1800トン、全量転売目的か 三笠フーズ
2008年9月7日3時6分
三笠フーズ(大阪市北区)が政府から工業用に限定された有害米を食用に転用していた問題で、 同社が仕入れた事故米は過去5年に政府が売却した事故米全体の4分の1に上ることが分かった。農林水産省は、 帳簿や関係者の証言から、その全量を食用と偽って売ろうとしていた可能性が高いとみている。
農水省によると、事故米の購入は、工業用のりの製造業務を商業登記の目的欄に記載した業者に限られ、 これまでに購入したのは17社。03年度〜今年8月に政府が売却した事故米は計約7400トンで、 うち三笠フーズが24%の1779トンを占め、17社中最多だった。
政府保有の輸入米などにカビや水漏れなどで事故米が発生すると、農水省のホームページに掲載。その後、 47都道府県にある出先機関の農政事務所が近隣の業者らに通知して指名競争入札を実施して売却業者を決める。
大阪市に本社を置き、福岡県筑前町に工場をもつ三笠フーズは04年2月以降、北海道や東北、 関東など東日本の農政事務所が発注する事故米取引にも積極的に参入。53回の取引のうち49回は少額の随意契約で、 北海道の倉庫にあるカビの生えたタイ産米60キロを300円で買い取るなど安値の購入を繰り返していた。
同省のある職員は「三笠フーズから『入札はいつか』と問い合わせがよくあった。100キロ以下の少量だと、 輸送費の方が高く買い手がつきにくいが、三笠フーズは少量でもよく購入していた」と証言する。
冬木三男社長は6日の記者会見で事故米の食用への転用を始めた時期を「5、6年前から」と話している。また、 改ざんされていない本物の帳簿類から工業用として出荷された記録は確認されておらず、農水省は、 同社はもっぱら食用と偽って販売した可能性が高いと判断。 少なくとも298トンを食用と偽って売っていたことが確認されているが、それ以外の流通先についても特定を進める。 (歌野清一郎)
2008年9月8日15時2分
工業用に限定された事故米を食用に転用していた三笠フーズ(大阪市北区)が、 商社2社からも残留農薬の基準値を超えたりカビが生えたりして事故米となった米計743トンを購入していたことが農林水産省の調べで新たにわかった。 これまでに同社は政府から事故米計1779トンを購入したことが判明していたが、 食用転用された事故米はさらに増えた。
農水省によると、商社ルートの事故米も政府が入札を実施するミニマムアクセス(MA)米。 落札した商社が日本へ輸入したものの、食品衛生法の基準値を超える残留農薬が検出されたり、 輸送中に水ぬれしたりしたため、政府が買い入れを中止して商社に返品されたもの。商社は汚染の程度に応じて、 工業用や飼料用に限定し、食用に流通させないことを条件に売り渡すことになっている。
農水省の調査で、新たに三笠フーズへの販売が確認されたのは、商社・双日(東京) が06年度にベトナムから輸入後、殺虫剤に使用される農薬成分・アセタミプリド(基準値0.01ppm) の基準値の3倍が検出された事故米598トンと、住友商事(同) が05年度にタイから輸入後にカビの発生で事故米となった145トン。このうち三笠フーズは598トンの一部を福岡、 熊本、鹿児島の焼酎メーカーに食用として出荷していた。いずれも「うるち米」で工業用途に限定して売却された。
商社ルートで売却された事故米は過去5年で約9千トンに上るとみられ、 同省は政府調達の輸入米の調達にかかわったことのある二十数社から、事故米を売却したか否か、 売却先はどこかについて聞き取りを進めている。同省は、政府が事故米を売却した三笠フーズ以外の16社の点検に加え、 商社ルートで事故米を購入した業者についても調べる方針だ。(歌野清一郎)
YOMIURI ONLINE
汚染米転用の告発2回、農水省見抜けず…酒造5社混入の可能性
米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が工業用の「事故米」を食用に転売していた問題で、 農林水産省東京農政事務所に昨年1月、2度にわたって同社の不正を告発する情報提供が寄せられていたことがわかった。
農水省はこれを受け、同社を立ち入り調査したが、不正を見抜けなかったという。
また、農水省は8日、事故米が含まれたコメを原料として仕入れていた可能性のある酒造会社5社を公表した。
農水省によると、告発は大阪府内から封書で寄せられた。基準値を超える有機リン系の農薬「メタミドホス」 が検出され、「工業用のり原料」 として2006年11月に国から同社に売却された中国産もち米約500トンが食用として転売されている、 との指摘だった。
農水省は告発を受け、昨年1月末から2月初めにかけて同社に立ち入り調査。同社は、 昨年11月以降にも汚染米を購入しているのに、同省は、 倉庫内に中国産もち米500トン分が保管されていることを確認しただけで、「転売はない」と判断したという。
農水省が公表した5社は、喜界島酒造(鹿児島県)、西酒造(同)、光酒造(福岡県)、抜群酒造(熊本県)、 六調子酒造(同)。
このうち、西酒造は、焼酎「薩摩宝山」を、一升瓶換算で約30万本を全国に出荷しており、 7日から自主回収を始めた。
同社によると、今年3月に、三笠フーズのグループ会社「辰之巳」(大阪市)から数百トンを仕入れた。 辰之巳の社長は三笠フーズの冬木三男社長が兼任する。
また、抜群酒造と六調子酒造の2社は8日、熊本県内で記者会見し、辰之巳から、 事故米が含まれた米を原料として仕入れた可能性があると発表した。
抜群酒造によると、辰之巳との取引は2006年ごろから始まった。辰之巳の精米工場は、三笠フーズの九州工場 (福岡県)の敷地内にあり、農水省九州農政局から、「原料米に事故米が入っている可能性がある」と指摘されたという。
会見した抜群酒造の西達彦社長によると、この原料米を使った焼酎は「全麹抜群(ぜんこうじばつぐん)」(1・ 8リットル入り)で、512本を通信販売で売り、12本を地元の小売店に卸したという。
西社長は「大手商社から、辰之巳から仕入れるよう持ちかけられ、購入した。事故米とは知らなかった。 長年にわたって信頼を築いてきただけに断腸の思い」と述べた。
六調子酒造は今年1月に仕入れ、焼酎を製造したが、出荷していないという。
熊本県が2社の焼酎を検査したところ、残留農薬などが検出されず、安全性に問題はないとしている。
(2008年9月8日14時44分 読売新聞)