世界が注目する、北京五輪開会式にタイミングをあわせて(?)はじまった、グルジア紛争。グルジア軍とロシア軍の戦闘が続き、一般庶民にもかなりの被害が出ている模様です。また、グルジア側が戒厳令を発動、ロシア軍も引く気は無く、事態は更に悪化する恐れが強くなっています。
グルジアという国、名前は何となく聞いたことがありますが、詳しい知識はありません。紛争の原因は、長年にわたるロシアとの関係、また民族の独立運動と、複雑な問題を抱える地域であるようです。現大統領が親欧米で、ロシアとの関係が悪化した、といったことも背景にあるようです。
それにしても、ロシアはよく軍事介入しますね。アメリカはブッシュ大統領が「暴力の即時停止」を訴えている、とのことです。それは正論だと思いますが、そういうのであれば、ちょっと自分達がしていることを振り返ってみる必要があるようにも思います。
ともあれ、グルジア側、ロシア側双方に言い分があるでしょうし、何が正しいのかわからないのですが、まずは早期の停戦を実現するべきですね。ただ、調停役でアメリカが出てくると、アメリカ・ロシア間の問題に発展か、といった見方もあるようで、新たな問題の火種にもなりかねないようです。
そんなことになれば、オリンピックどころでは無くなってきます・・・・・
asahi.com
グルジアに戒厳令、ロシア空爆で逃げ惑う民衆
2008年8月9日20時59分
【モスクワ=星井麻紀】グルジアからの分離独立を目指す南オセチア自治州での武力衝突は9日、ロシア軍の介入が本格化し、グルジアとの全面的な戦闘に発展する恐れが強まっている。インタファクス通信などによると、ロシア軍は南オセチア自治州の州都ツヒンバリに続々と到着。同じくグルジアからの独立を求めるアブハジア自治共和国内のグルジア側実効支配地域にも空爆した。グルジアは同日、戒厳令を敷いた。
国際社会は即時停戦に向け動いているが、ロシアのメドベージェフ大統領は、平和維持を目的とした作戦展開をロシア軍に指示した。
インタファクス通信によると、ロシア空軍機がアブハジア内で唯一のグルジア側実効支配地域となっているコドリ渓谷上部を空爆。戦火がアブハジアへも飛び火する可能性が出てきた。また、ロシアの戦闘機2機が南オセチアに近いゴリを空爆。標的のほとんどが軍事施設だったという。ロシア軍は黒海に面したグルジア西部の主要港ポチやセナキのグルジア軍基地も空爆。攻撃の範囲を広げている。
ロシア国防省は、南オセチアに駐留する平和維持部隊を支援するため増派を確認。南オセチアに隣接するロシアの北オセチア共和国に作戦本部を設けた。断続的に戦闘が続く南オセチアのツヒンバリには、特殊任務部隊などロシア軍が続々と到着。ロシア軍は「ツヒンバリをグルジア軍から解放した」と宣言した。
グルジアのサアカシュビリ大統領は戒厳令を宣言。イラクに駐留する全兵士2千人を帰国させ、攻撃に備えるとしている。トビリシでは、空襲を警戒して住民や戦略施設や国の機関が避難を開始した。同大統領は、ロシアの攻撃でグルジア兵士ら30人が死亡したと話した。一方、ロシア側はグルジアの攻撃で兵士12人が死亡、150人が負傷したとしている。
ロシアのテレビ局は、砲撃で破壊された民家や、子どもを抱いて逃げる母親の姿、燃え上がる戦車などの様子を放送している。市民には多数の被害が出ている模様で、ロシア側には避難民や負傷者が移動している。同自治州やロシア当局は、グルジアの攻撃による死者は約1400人、難民は約3万人に上るとしている。
ロシアのラブロフ外相は8日、グルジアを「民族浄化をしている」と非難。米国のライス国務長官と電話会談し、グルジアの攻撃をやめさせ、紛争地帯から軍隊を撤収させるよう協力を求めた。同様のメッセージをシュタインマイヤー独外相にも送ったという。
産経ニュース
グルジア危険な賭け 欧米支援当て込み「南オセチア再統一」
2008.8.9 22:59
グルジア危険な賭け 欧米支援当て込み「南オセチア再統一」 (1/3ページ)
2008.8.9 22:59【モスクワ=遠藤良介】ロシアの軍事介入を招いて戦闘が激化している南オセチア紛争は、国際社会の注目が集まる北京五輪開催に合わせて、グルジアのサーカシビリ政権が欧米諸国の支援を見越し、独立状態にある同自治州再統一の賭けに出たものとの見方が出ている。米政府は「暴力の即時停止」を呼びかけているが、親欧米であるグルジアを後押しする米国の姿勢はカフカス地方で米露間の覇権争いの色彩も帯びることになり、事態はさらに複雑化する恐れもある。
2004年に就任したサーカシビリ大統領は、北大西洋条約機構(NATO)加盟に加え、独立状態にある親露分離派地域であるアブハジア自治共和国と南オセチア自治州への支配回復を公約に掲げてきた。しかし、両地域は政権との交渉を拒絶し続け、対露関係の火種である両地域の存在はNATO入りの障害になるとみられていた。
ロシアは従来、両地域の大半の住民に自国の旅券(パスポート)を与えて「ロシア国民」と認定。南オセチア州政府予算の3分の2を資金援助するなど関係を深めていた。最近はさらに、2月のコソボ独立を「前例」として両地域の独立を支援する動きを強めており、サーカシビリ政権が焦りを募らせていたのは間違いない。
グルジアは過去4年間で軍事予算を約30倍に拡大、米国製武器や米国の軍事顧問を受け入れて軍の近代化に力を入れている。南オセチア独立派には軍事力で優越しており、サーカシビリ政権が南オセチア急襲による短期決戦を狙った可能性もある。
ただ、その軍事費増大も「ゼロから軍をつくりあげるプロセス」(国防省筋)にほかならず、ロシアとは陸軍兵力で12倍、主力戦車数で180倍、攻撃機で226倍と圧倒的な隔たりがある。ロシアが本格的に軍事介入した場合、グルジアが持ちこたえられないことは明白だ。
事態打開のカギを握るのは欧米諸国の動きだ。ロシアのラブロフ外相は米国のライス国務長官と3度にわたって電話会談した。しかし、米国はグルジアの領土保全を重視してロシア軍の撤退を求めるなどグルジア側の立場を鮮明にしており、米国の動き次第ではロシアが態度をさらに硬化させる可能性も高い。
欧州連合(EU)と欧州安保協力機構(OSCE)、米国は即時停戦の実現に向けた共同代表団をグルジアに向かわせており、9日に現地入りする見通しだが、事態が収束に向かうかどうかは不透明だ。
■グルジア共和国 カスピ海と黒海に挟まれたカフカス地方に位置する面積6万9700平方キロ、人口約440万の小国。面積はロシアの0・4%、人口も9・5%にすぎない。国民の大半がグルジア正教。1人当たりの国民総所得はロシアの5780ドル(2006年)に対し、1560ドル(同)にとどまる。19世紀にロシア帝国に併合。1922年にソ連に加盟したが91年4月に独立を宣言。旧ソ連外相だったシェワルナゼ氏が大統領を務めたが、2003年の「バラ革命」で辞任。04年の大統領選で親欧米派のサーカシビリ氏が当選し、ロシアとの関係が悪化。ロシアの庇護(ひご)下にある2地域がグルジアからの分離独立を目指す。
北部の南オセチア自治州は、人口7万でオセット人が多数派を占める。同じオセット人が住むロシア領北オセチア共和国への編入を求め、グルジアとの衝突をくり返している。また、黒海に面しているアブハジア自治共和国は人口25万。99年に一方的に独立宣言を行っており、ロシア通貨ルーブルが流通するなど、ロシアの経済圏に取り込まれている。2014年冬季五輪開催地のソチに隣接している。
本当に、五輪どころではないような騒ぎになってしまったようですね。ここ数日、テレビなどがない生活をしていましたので、深刻さが分かりませんでした。一般市民の被害も心配です・・・
米欧の支援はあるとはいえ、軍事力ではロシアには足元にも及ばない短期決戦の生き残り?戦争。
ソ連崩壊後の民族間の争いは第三者には解らないところですが、
やはりそれぞれに利権が絡んでいるのは当然でしょうね。
http://shadow99.blog116.fc2.com/blog-entry-844.html
中国にしてみればメンツをつぶされた、というところでしょう。
しかし、ロシアは事前に察知していたようですね。北京のロシア関係の宿舎は、用意周到に防備が固められているそうです。
>shadow9さん
グルジアは、博打に打って出たとの見方があるようです。欧米が絡んでくるのを期待しているのでしょうか。
世界的に不穏な情勢に陥る可能性があるというのに・・・自国の国益になると踏んだのでしょうか。
戦争や紛争には必ず大国が介入しますね。
アメリカ、ロシア、中国しかりです。
まったく困ったものです。
コメントありがとうございます。
すみません、いただいたTBにお返ししたつもりでしたが、異なる記事をTBしてしまいました。失礼いたしました。m(_"_)m
さきほど、送り直しました。
>戦争や紛争には必ず大国が介入しますね。
言われるとおりです。この紛争も大事にならなければ良いですが。
今後ともよろしくお願いいたします。