2008年07月29日

近畿で豪雨、神戸で鉄砲水

 昨日は北陸から近畿地方にかけ、記録的な集中豪雨が降ったとのこと。確かに大阪市内でも雷と共に激しい雨が降りました。ちょっと降りつづくと怖いな、というぐらいの勢いの雨でした。

 そんな豪雨の影響により、神戸の都賀川で鉄砲水が発生、4名が亡くなる、という事態が起きてしまいました。川辺をうつす監視カメラの映像がテレビのニュースにも出ていましたが、本当に急激に水位が上がり、川に流されてしまったようです。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 

 六甲山から一気に海へ注ぐ川が多い阪神地域は、以前にも大水害や鉄砲水による被害が起きています。河川改修や砂防対策が長年にわたり行われていますが、それでもやはり被害を完全に止めることは出来ないのですね。

 改修工事が進んで、水の流下がスムーズになったが故、かえって急激な増水が起きやすくなった。あるいはこれまでの日本では少なかった、熱帯地域のスコールのような、短時間に集中するパターンの雨が増えたため、急激に増水することが多くなった、などと言われています。

 

 日本の雨の降り方が変わりつつあるが、その変わり方が急激であるため、ハード的な治水対策が追いついていない(今のような豪雨を想定したスペックになっていない)、という状況であるように思われます。スコールのような雨に対して対策をするにしても、様々な場所に行き渡らせるには時間がかかり、何よりコストがかかるので、対策工事を待っているわけにもいきません。

 手っ取り早そうなのは、川の上流で起きている増水を出来るだけ早く察知し、さらに速やかに下流に警報を出せるような警戒システムだろうと思いますが、それとて、緊急時に上手く機能するかどうか、という懸念はあります。

 

 やはり、まず頼りにすべきは、このような災害に関する注意をし、基礎的なことを知り、危険をかぎ取る感覚を磨くということでしょうか。私も含め、都市で暮らす人間は、そういった感覚が鈍っているのでしょうが、これからは感覚を取り戻しておく必要が高まっているように思います。

 

asahi.com

各地で集中豪雨 神戸市灘区、子どもら流され4人死亡

2008年7月28日21時35分

 活発化した前線の影響で、北陸から近畿地方にかけての広い範囲で28日、短時間に記録的な激しい雨が降った。神戸市灘区の都賀(とが)川に遊びに来ていた学童保育の児童や引率の大人をはじめ10人以上が増水した川に流されるなどし、子ども3人を含む計4人が死亡。ほかに、男性1人が行方不明になっている。兵庫県姫路市では落雷で1人が死亡した。京都、大阪両府内でも床上・床下浸水するなど、各地で豪雨による被害が相次いだ。

 兵庫県警灘署によると、神戸市灘区水道筋1丁目の都賀川で午後2時40分ごろ、私立の学童保育所「六甲学童保育所どんぐりクラブ」(同区篠原中町1丁目)の児童・生徒19人と引率の大人3人が川遊びをしていたところ、急激に川の水かさが増え、大人1人と児童2人の計3人が流された。大人は自力で岸に上がったが児童2人が行方不明になった。神戸市灘区の男性からは「保育園に通う5歳の娘と、迎えに行った義理の妹が帰宅しない」と通報があった。

 捜索していた神戸海上保安部の巡視艇などが同川河口付近で子ども3人と女性1人を発見したが、まもなく死亡が確認された。

 学童保育で亡くなったのは市立六甲小4年の泉谷瑠希也(いずたに・るきや)さん(10)=神戸市灘区篠原南町3丁目=と同小6年の河合玲緒(れお)さん(12)=同区八幡町3丁目。保育園からの帰宅途中に亡くなったのは、保育園児友地(ともじ)こころちゃん(5)=同区神ノ木通4丁目=と無職妻鹿愛美(つましか・まなみ)さん(29)=同。

 近くで橋の工事をしていた男性や現場から約1キロ南の都賀川で釣りをしていた男児ら計6人も流されるなどしたが、近くにいた人たちに救助されるなどした。

 また、午後4時ごろ、都賀川の河口に近い神戸港内でバッグが浮いているのを神戸海上保安部の船が見つけた。中から神戸市灘区のアルバイト男性(32)の身分証などが見つかった。男性と連絡がとれなくなっており、灘署が所在の確認を進めている。

 兵庫県河川警備課によると、都賀川にかかる甲(かぶと)橋付近で、午後2時40分からのわずか10分間に水位が1.3メートルも上昇したという。

 一方、同県警網干署によると、姫路市網干区の化学工業品メーカー「日本ポリマー工業」の駐車場付近で、同社の下請け会社の作業員松谷秀樹さん(37)=同=が亡くなっているのが見つかった。落雷による感電死と見られるという。兵庫県と神戸市危機管理室はそれぞれ、災害警戒本部を設置した。

 京都府内では約100棟が床上・床下浸水し、一時、8220世帯に避難勧告がでた。

 各地で落雷もあり、鉄道では運休が相次いだ。JR北陸線では近江塩津―直江津間が午後3時ごろから約4時間にわたって運休したほか、阪和線などでも一時運転を見合わせるなど計約47万人に影響した。京阪本線は午後3時40分ごろ、大阪府守口市内での落雷の影響で架線が切れ、京橋―寝屋川市間で約3時間運転を見合わせ、約32万人が影響を受けた。

 大阪管区気象台によると、淡路島や瀬戸内海周辺に強い雨雲が残っており、近畿、中国四国地方では29日朝にかけて、多いところでは1時間に30〜50ミリの強い雨が降るところがあるという。また、29日夜にかけても大気の状態が不安定となり、引き続き落雷や局地的な豪雨に注意が必要という。

 

 

posted by いさた at 00:07 | Comment(2) | TrackBack(1) | 自然災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
 拝見して、一言書いていきます。
 いろんな意見が出てもいいですよね?

> 六甲山から一気に海へ注ぐ川が多い阪神地域は、以前にも大水害や鉄砲水による被害が起きています。河川改修や砂防対策が長年にわたり行われていますが、それでもやはり被害を完全に止めることは出来ないのですね。

「今回の事故は水難であっても、水災、水害ではないなぁ。」というのが私の周辺の声です。
 だからと言って、人命が軽いものというつもりはありませんし、5人という予想外の人が亡くなったのは、どこかに原因があるのでしょう。

> 改修工事が進んで、水の流下がスムーズになったが故、かえって急激な増水が起きやすくなった。

 一般的にそんな所もあるでしょう。
 しかし都賀川は海から山までわずか2〜3キロ。しかもその間も扇状地地形で高低差が100mもある川です。
 もともと、水が滞留する余地はなかった川です。古い住民がそのことを良く知っていたことは、報道でも伝えられます。

 誤解をおそれず言えば、水環境に親しむ親水施設ができて、都市住民が水の恐ろしさを忘れていたのが、原因だと思いますがいかがでしょうか?
Posted by 神戸の住人 at 2008年08月05日 00:13
>神戸の住人さん

コメントありがとうございます。

水の恐ろしさを忘れていた、急激な増水が起きやすい川である、という地域的な特性を重視していなかった、という点については私も同意見です。

親水施設ができるのは良いと思いますが、川で遊ぶ上では、川の恐ろしさをもっと知る(思い出す)べきでしょうね。


ただ、それとともに、私はこのような鉄砲水に対しても、社会的に何らかの対策は取っていく必要があると思っています。
Posted by いさた at 2008年08月05日 10:11
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Tracked: 2008-07-30 08:29
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