先日、世界遺産のイタリア・フィレンツェの大聖堂に落書をしたことが発覚してちょっとした騒ぎになりました。 その他の落書きも次々と発覚する、という余波もありましたが、このたび落書をした女子短大生の代表と、 短大の学長が現地を訪れて謝罪し、修復費として、日本円で約10万円を寄付したそうです。
そのような行動に感銘を受けたという大聖堂の事務局長が、寄付金で落書きを消した場所に、 学校名入の銘板を作りたい、などと言われているとのこと。
欧米(イタリア)では、文化財に対する落書は珍しいものではないようで、寛容なところがあり、 落書に対して謝罪して修復費を出す、という行動は一種衝撃的な行動・考え方なのかもしれません。
修復費で10万円かけると、どれぐらいの落書きが消せるのかピンときませんが、 短大生らの落書以上に広い面積が処理できるのではなかろうかと思います。
大聖堂側としては、文化財を大切に考える姿勢を称える・顕彰する意図で、落書を消した場所に銘板を作りたい、 と言っているのでしょう。イタリア的思考からすると、それが普通のことなのかもしれませんが、日本的に考えると、 銘板がつけられるのはかえって恥ずかしい感じがします。
修復費を出すに至った経緯を考えると、落書をした事実がずっと刻まれる、という感じも・・・・・・ 落書を恥ずかしく思うのであれば、銘板などつくらず、ただ落書きを消してもらう方がありがたいのでは。
とはいっても、銘板云々は、落書をした側とされた側の当事者間の問題なので、 傍からいろいろ言っても仕方がないところがありますが。
asahi.com
「落書き跡に銘板で校名残したい」伊の大聖堂が申し出
2008年7月10日20時5分
世界遺産に登録されているイタリア・フィレンツェ歴史地区のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に、 岐阜市の市立女子短大の学生6人が落書きをした問題で、松田之利学長と学生らが現地を訪れ、大聖堂側に謝罪した。 10日発表した岐阜市によると、学生は謝意と大聖堂の保全のため計600ユーロ(約10万円)を寄付。 通常なら受け取らない大聖堂側も今回は修復費に充てるという。
大聖堂の事務局長は「謝罪訪問という勇気ある行動に感銘を受けた。寄付金で落書きを消した個所に、 学校名入りのタグ(銘板)を作りたい」との意向を示したという。
6人の学生は3月、すでに文書で謝罪し、許しを得ていた。直接謝りたいという全員の意向を踏まえ、 学生の代表1人と学長らが私費で現地に赴いたのは9日。 大聖堂の事務局長とともに面会に応じたフィレンツェ市の副市長は 「文化を大切にする日本人の意思と厳しい態度に考えさせられた」と話したという。
同感です。まあ最終的には当事者同士が決めることではありますが、「落書きを謝罪した日本の学校」として永久に刻印されるのは却って厳しい罰なのかもしれません。大聖堂側にそういう意識があったかなかったか・・。
落書が珍しいものではなく、謝罪する人も(希にしか)いない、という文化の中では、落書を謝罪してかつ修復費まで払うという行為は、顕彰に値するのかも知れませんが。
大聖堂側に罰を与える意識は無いものと信じたいところです。