2008年06月27日

諫早の潮受け堤防・門は開くのか

 長崎は諫早湾干拓で、堤防を締切ったため、漁に深刻な影響が出て、 国を相手に堤防の撤去や門の常時解放を求めた訴訟で、佐賀地裁の判決があり、国に対して3年の準備期間を経た後、 5年間にわたって潮受け堤防の排水門を開くよう命じた、とのことです。

 

 裁判所は、漁業と潮受け堤防の締切について、中・長期的な因果関係を調査するための開門を命じる、 ということのようです。今回の判決は国に厳しいものであり、不利な状況が続く漁業関係者にとっては、 若干の救いと言えるようです。

 ただし、地裁判決なので、国が不服として上級審へ控訴すれば、どうなるのかはわかりません。干拓事業に対する、 これまでの農水省のかたくなな態度からすれば、控訴は確実でしょう。結論が出るまでには、 まだしばらく時間がかかりそうです。

 

 今回の判決に従って門を開いた場合、有明海がもとの豊かな海に戻っていくのか、 それとも現状が多少改善される程度なのか、はたまた何も変らないのか、どう変化するのかわかりません。 専門家はある程度シミュレーションして、結果を想像しているのでしょうか?

 どうも、開門後、ゆるやかに海の中の環境が変り、調査が終りを迎える5年目頃に、ようやく影響がわかりはじめる、 といったことになるような気がします。

 潮受け堤防を締切ってから11年になるとのこと。ならば、開門も同じぐらいの期間、 10〜15年ぐらいは続けないと、海への影響もわからないのではないでしょうか。

 

 いずれにしても、最悪のケースは、開門にも関わらず有明海の環境は変ることがなく、干拓地で始めたという農業は、 塩分の影響で営農もままならない、という、漁業・農業が共倒れになること。

 かつて「失敗百選」に選ばれた事業。火に油を注ぐ結果になりはしないか。

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毎日.jp
諫早干拓訴訟:国に排水門の開門命じる判決 佐賀地裁

 国営諫早湾干拓事業(諫干)による潮受け堤防の閉め切りで漁場環境が悪化したとして、佐賀、福岡、熊本、 長崎の有明海沿岸4県の漁業者ら約2500人が国を相手取り堤防撤去や常時開門を求めた訴訟の判決が27日、 佐賀地裁で言い渡された。神山隆一裁判長は諫早湾とその近郊で起きている漁業被害と閉め切りとの因果関係を一部認め、 国側に5年間にわたる排水門の開門を命じた。諫干を巡る一連の訴訟で、開門を命じた司法判断は初めて。

 判決は、諫早湾とその周辺の環境変化と閉め切りの因果関係について「魚類の漁船漁業、アサリ採取・ 養殖の漁場環境を悪化させている」と認定した。

 「漁民らにこれ以上の立証を求めることは不可能を強いる」とした上で、「因果関係の解明に有用な中・ 長期開門調査を国が実施しないことは、もはや立証妨害と言っても過言ではない」と国側の姿勢を厳しく指摘。また、 「判決を契機に速やかに中・長期開門調査が実施され、適切な施策が講じられることを願ってやまない」 と国側に異例の注文を付けた。

 国側は潮受け堤防排水門の開門について「締め切りによる漁場の悪化もない。排水門を開放すると、 排水門の周辺に速い潮流が起き、堤防の安全性や漁業に悪影響を及ぼすことが懸念される」などと請求棄却を求めていた。

 判決は、中・長期開門調査に必要とされる5年間の開門を国に命じたが、 開門の際に潮受け堤防の防災機能を代替させる必要があるため、 その工事期間として開門実施を判決確定から3年間猶予した。

 一方、堤防の撤去や慰謝料請求は認めず、請求権のない原告の訴えも退けた。

 諫干と漁業被害との因果関係を認めた司法判断は、 04年8月に佐賀地裁が出した工事差し止めの仮処分決定がある。この決定で諫干工事は一時中断したが、 福岡高裁が05年5月に取り消し、同9月に最高裁で確定した。

 今回の訴訟は02年11月に提訴。当初は工事差し止めを求めたが、工事がほぼ完成したため、 06年11月に請求を「堤防の撤去か開門」に変更し、05年10月には開門を求める仮処分も申し立てたが、却下された。

 今回の判決に対し、国側は控訴するとみられ、福岡高裁で改めて判断を仰ぐことになる。【姜弘修】

 【ことば】諫早湾干拓事業

 農地造成と防災を事業目的として、97年4月に諫早湾央部に設置した潮受け堤防(長さ約7キロ) で干潟を含む約3500ヘクタールを閉め切った。湾奥部に二つの干拓地を造成、 干拓地以外は海水を淡水化して調整池とした。300枚近い鉄板を次々と海に落とす閉め切りの様子は、「ギロチン」 と形容された。今年4月には干拓地の本格的な営農が始まり、総事業費は2533億円。

 

諫早干拓訴訟:「思い報われた」漁業者感極まり

 国の公共工事に生活の場を奪われた漁民の思いは、ようやく司法に届いた。諫早湾干拓事業(諫干) と漁業被害との因果関係を認め、潮受け堤防の開門を命じた27日の佐賀地裁判決。「判決を契機に、 すみやかに中長期の開門調査が実施され、適切な施策が行われることを願う」。法廷で裁判長の言葉を聞いた漁業者たちは、 一様に感極まった表情をみせた。【姜弘修、遠藤雅彦、柳瀬成一郎】

 佐賀地裁で最も大きい1号法廷。午前10時からの判決言い渡しを前に、廷内は満席となった。 神山隆一裁判長が主文を言い渡すと「やった」と声が漏れ、約30分間にわたる読み上げが終わると大きな拍手が起きた。

 地裁前では、法廷に入りきれない支援者や原告約100人が待ち受けた。午前10時過ぎ、 法廷から走り出た支援者が「開門認める」と大書した紙を広げると歓声が上がり、感激のあまり泣き出す女性もいた。

 この日、原告の一人として判決を傍聴した佐賀市のノリ養殖業者、川崎賢朗さん(47)は高校卒業後の79年、 祖父も父親も営んだノリ養殖を始めた。「国がやることだ。間違いはないだろう」。諫干の工事が始まっても、 そう感じる程度だったが、00年に発生した大規模な赤潮でノリが空前の不作となり、諫干の影響を疑うようになった。

 疑念が確信に変わったのは01年の元旦だった。潮受け堤防前に、 漁民たちが約200隻の漁船を連ねた海上抗議行動に参加した際、堤防前の海面を埋め尽くした赤潮に驚いた。 「ここが発生源に違いない」。その年の夏、佐賀県内の漁民約800人で「佐賀有明の会」を結成、 会長として有明海の再生運動に取り組むようになった。

 潮受け堤防の閉め切り後、不作となったのはノリ養殖だけではない。魚類の漁獲量が減り、 養殖のアサリも夏場の赤潮で大量死した。佐賀、福岡両県内のタイラギ漁は99年度以降、休漁と不漁を繰り返している。

 国は因果関係を認めぬまま、有明海の再生事業に取り組むようになった。だが日々、有明海を見てきた川崎さんは 「今も海況は悪化している」と感じている。かつて「恵みの海」 と言われた有明海は00年のような不作にいつ陥るか分からない「不安の海」に変わった。

 川崎さんらが求めてきた潮受け堤防の開門調査は、農水省が設置した第三者委員会でも提言されたことがある。 04年8月には佐賀地裁が工事の差し止めを認めたが、その後福岡高裁で覆され、 国の公害等調整委員会でも訴えは退けられた。

 期待がことごとく裏切られ、徐々に手詰まり感が強まる中で、迎えたこの日の判決。川崎さんは 「漁民は開門までの3年間も待てない。判決は、有明海再生への第一歩だ」と、表情を引き締めた。

 

posted by いさた at 16:11 | Comment(0) | TrackBack(3) | 環境問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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