6月14日午前8時43分に、岩手・宮城県境近くを震源とする、岩手・宮城内陸地震が発生しました。まずは、被害に遭われた方々にお見舞申上げます。また、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
内陸部の比較的浅いところを震源とする「逆断層型」の地震で、地震の揺れは、阪神・淡路大震災に匹敵する強烈さだったそうです。また、地震の観測点がたまたま震源間近にあり、4022ガルという非常に大きな加速度が観測されたとのこと。
今回の地震では、土砂崩れによって建物が埋ってしまったり、道路が寸断され集落が孤立する、といった被害、土砂災害が多いようです。TVの映像で流れていましたが、山の一部がガッポリと崩れてしまう「山体崩壊」という現象も起きていて、これには驚きました。まさに自然の力が爆発した、という感じです。
完全に落ちてしまった橋などもあるようですが、土砂崩れで道がふさがるなど、交通が寸断されている状況では、救難や復旧作業といった今後の活動への影響が懸念されます。都市部における地震災害とは、また違った困難があります。
地震が起きてまだ2日目。しばらくは情報の混乱や錯綜、余震の可能性など、慌ただしく、落着かない日々が続くかと思いますが、被災地の復旧が1日も早く進むよう祈っております。
YOMIURI ONLINE
岩手・宮城内陸地震が発生してから2日目の15日、宿泊客ら7人が生き埋めになった宮城県栗原市の旅館「駒の湯温泉」で男女3人の遺体が見つかり、地震による死者は計9人になった。
釣り人などで消息が分からない人も5人増えたため、安否不明者は計13人、負傷者数も同日午後8時現在で258人に達した。体に感じる余震が280回を超える中、同温泉などの現場では、土砂がせき止めた川の水があふれ出した影響で捜索は難航している。
16日の現地の予報は雨で、気象庁では土砂災害への警戒を呼びかけている。
同旅館では15日、夜明けとともに宮城県警の救助隊などが捜索を開始。泥水に覆われた地面に畳を敷いて足場を固めながら、2階建ての建物のうち、1階が土砂で埋まった旅館内部を、土砂を取り除きながら捜索した。
午後1時半ごろから、同旅館経営者家族の菅原チカ子さん(80)(栗原市)、宿泊客の栗原市観光振興アドバイザー・麦屋弥生さん(48)(金沢市城南)、さいたま市の鉄道博物館学芸員・岸由一郎さん(35)(東京都北区栄町)の3人を相次いで収容。いずれも死亡が確認された。
麦屋さんと岸さんは、別の場所で開かれた栗原市の観光資源に関する検討会に出席後、13日夜から宿泊していた。
同旅館内には、菅原さんの長男孝夫さん(58)と、いずれも従業員の高橋恵子さん(55)、佐藤幸雄さん(62)、安藤みい子さん(75)の計4人が閉じ込められているとみられるが、二次災害の危険も考慮し、午後7時半でこの日の捜索を打ち切った。
新たに安否不明が判明したのは、栗原市内の白糸の滝に釣りに行った44歳と54歳の男性2人、やはり同市の柳沢入り口近くの川に釣りに出かけた男性(55)、宮城・岩手・秋田県境付近の栗駒山にタケノコ採りに入っていた山形県金山町の夫婦の計5人。
また、宮城県警は、14日に栗原市の湯浜温泉付近で土砂に埋もれた車から見つかった遺体は同県大崎市、土木作業員樋野政行さん(59)と確認した。
気象庁は、15〜17日の3日間にマグニチュード(M)5以上の余震が起きる確率は90%、M6以上が起きる確率は30%と予測し、警戒を呼びかけている。震源地を中心に広範囲で地盤が緩んでおり、土砂災害への注意も促している。
断水は、15日午後7時現在、栗原市の2466世帯、岩手県奥州市で約1000世帯、一関市の26世帯で続いている。停電も栗原市の計311世帯でまだ復旧していない。
(2008年6月15日21時51分 読売新聞)
岩手・宮城内陸地震で、防災科学技術研究所の強震計観測網によって、揺れの強さを示す加速度の最大値は、宮城県栗原市で812ガルが観測された。 阪神大震災の最大加速度818ガル(神戸市中央区)にほぼ等しい揺れだった。
最近は地震計が全国各地に多数設置されるようになったこともあり、大きな加速度が観測されている。新潟県中越地震(2004年)では約2500ガル、昨年の新潟県中越沖地震や石川県能登半島地震では約1000ガルが観測された。
◆逆断層型と分析
気象庁の分析によると、今回の地震は、日本列島を乗せているプレート(板状の岩盤)のごく浅いところで断層がずれて発生した。
今回のように地下の浅いところで起きる地震は「直下型地震」「内陸型地震」などと呼ばれ、1995年1月に阪神大震災を引き起こした「兵庫県南部地震」や、昨年7月の「新潟県中越沖地震」も同じタイプ。日本全国、いつどこで起きてもおかしくないタイプだ。
横田崇・地震津波監視課長によると、断層の両側から力がかかって大きくずれて、片方の地盤がもう片方に乗り上がる「逆断層型」というタイプの地震だという。西北西と東南東から押し合う力が働き、断層がずれたと考えられるという。
東北地方は、日本列島が乗っている「北米プレート」の下に、太平洋側から「太平洋プレート」が少しずつ沈み込んでおり、絶えず西側から押される力がかかっている。このため、地下の断層がずれてその力を解放するが、その際に地震が発生する。
(2008年6月14日14時47分 読売新聞)
防災科学技術研究所は15日、岩手・宮城内陸地震が起きた時、震源から最も近い岩手県一関市内の観測地点で、揺れの瞬間的な強さの指標である最大加速度が4022ガル(ガルは加速度の単位)を記録していたことを明らかにした。
国内の地震で、4000ガルを超える加速度が記録されたのは初めて。これまでの記録は2004年10月の新潟県中越地震で観測された2515・4ガルだった。
加速度は、上下、水平方向への地盤の動きを基に計算されるが、同研究所によると、水平方向の動きよりも上下の動きが激しかった。
今回の地震は、断層が上下にずれる逆断層型で、観測点が震源の直上付近にあったことから、断層の上下方向の動きで激しい縦揺れに見舞われた結果、極めて大きな加速度が記録された可能性があるという。
(2008年6月15日22時07分 読売新聞)